リング状増強効果とは
リング状増強効果(ring enhancement)とは、造影CTや造影MRIで病変部分の周囲がリング(円)状に強調されることを言います。
脳
ゴロ「高価なリング転がし、はめたのよ」
高価な→膠芽腫
リング→リング状増強効果
転がし、はめた→転移(メタ)性脳腫瘍
のよ→脳膿瘍
解説
脳でリング状増強効果を示すのは、以下の3つです。
- 膠芽腫
- 脳膿瘍
- 転移性脳腫瘍
以下、鑑別点を挙げて解説していきます。
膠芽腫
アストロサイトから発生する脳腫瘍で、予後が非常に悪いです。
被膜の厚さが不均一で、内部は壊死しています。
※109D41A
脳膿瘍
細菌感染により、脳内に膿瘍が形成されたものです。
他の2つと違い、感染によるので炎症所見(発熱、CRP↑、赤沈↑など)を伴います。
また、被膜の厚さが均一です。
周囲は炎症による脳浮腫があるので、ダブルリングが見えます。
※104I41
転移性脳腫瘍
他臓器の悪性腫瘍が脳に転移したものです。
被膜の厚さが不均一で、他の2つと違い多発しやすいのも特徴です。
※106I07
おまけ:転移性脳腫瘍の原発巣
ゴロ「脳メタしたら、ハイ入床!」
脳メタしたら→脳転移
ハイ→肺癌(最多、半分を占める)
入→乳癌
床→消化器系の癌
肝臓
ゴロ「高い指輪、はめたのかよ」
高い→胆管細胞癌(CCC)
リング→リング状増強効果
はめた→転移(メタ)性肝癌
のかよ→肝膿瘍
解説
脳でリング状増強効果を示すのは、以下の3つです。
- 胆管細胞癌(CCC)
- 肝膿瘍
- 転移性肝癌
以下、鑑別点を挙げて解説していきます。
胆管細胞癌(CCC)
肝内胆管から発生する悪性腫瘍で、予後が非常に悪いため肝移植の適応となりません。
原発性肝細胞癌と違い、乏血性腫瘍であるため、造影されにくいです。
※肝内胆管を閉塞すると腫瘍より上位の胆管拡張を伴うので、CTよりもERCPなどで分かりやすいです。
肝膿瘍
細菌(大腸菌やクレブシエラ)やアメーバの感染により、肝内に膿瘍が形成されたものです。
他の2つと違い、感染によるものなので炎症所見(発熱、CRP↑、赤沈↑など)を伴います。
弛張熱+右季肋部痛+肝腫大が三徴です。
内部にある隔壁が造影されるのが特徴です。
周囲は炎症による脳浮腫があるので、ダブルリング(double target とも呼ばれる)が見えます。
※112D62
転移性肝癌
他臓器(大腸癌が最多)の悪性腫瘍が肝に転移したものです。
原発性肝細胞癌と違い、乏血性腫瘍であるため、造影されにくいです。
他の2つと違い多発しやすいのが特徴です。
※100F33
まとめ
脳でも肝臓でも、リング状増強効果をきたしやすいものは似ています。
- 予後が悪い悪性腫瘍
- 膿瘍
- 転移性悪性腫瘍
画像だけでなく、臨床所見を踏まえて鑑別していきましょう!