抗菌薬とは
抗菌薬(抗生剤・抗生物質)とは、細菌の増殖を抑制したり殺したりする働きのある薬です。
抗菌薬について学ぶには代謝、副作用、組織移行性など、様々なことを理解しなければならず、非常に奥が深い分野のひとつとなっています。
この記事では、ゴロ合わせを用いて抗菌薬を簡単に覚える方法を説明しています。
ぜひ最後まで読んで、抗菌薬を詳しく学ぶきっかけとしてください。

研修医が学ぶべき三大分野は「輸液・抗菌薬・人工呼吸器」とされているよ。研修医になったら、もっと詳しく勉強しようね!
抗菌薬の作用による分類
まずは抗菌薬の特徴による分類を紹介します。
静菌作用と殺菌作用の覚え方
抗菌薬には、静菌作用(微生物の発育・増殖を阻止する作用)をもつものと、殺菌作用(微生物を殺滅する作用)をもつものがあります。
国試対策としては、殺菌作用をもつものを覚えて、静菌作用をもつものはその他として除外すると筋が良いです。
殺菌作用をもつ抗菌薬のゴロ
「兄貴はベタに殺してく」
ア→アミノグリコシド系
ニキ→ニューキノロン系
ベタ→βラクタム系(ペニシリン系+セフェム系+カルバペネム系)
殺してく→殺菌作用
時間依存と濃度依存の覚え方
抗菌薬には、濃度依存性(血中濃度が最大(Cmax)のときに効く=1回大量投与)のものと、時間依存性(血中濃度が最小(MIC)のときに効く=頻回少量投与)のものがあります。
こちらも濃度依存性のものを覚えて、時間依存性のものはその他として除外すると筋が良いです。
濃度依存性の抗菌薬のゴロ
「アニキは濃いのを一発大量に」
ア→アミノグリコシド系
ニキ→ニューキノロン系
濃いのを→濃度依存性
一発大量に→1回大量投与
肝代謝性/腎代謝性の覚え方
抗菌薬は肝代謝性のものと、腎代謝性のものがあります。
肝または腎が障害されているときは、代謝が遅延するため、抗菌薬の作用は強くなります(容量の調整が必要)。
腎代謝性の抗菌薬が多いので、肝代謝の抗菌薬を覚えて、同様にその他を除外していきましょう。
肝代謝性の抗菌薬のゴロ
「黒幕テリーめ!」
黒→クロラムフェニコール系
幕→マクロライド系
テ→テトラサイクリン系
リー→リンコマイシン系
め→メトロニダゾール
他には、抗結核薬(RFP、INZ、PZAなど3文字のもの)や、アムホテリシンB(抗真菌薬)、セフトリアキソン(セフェム系唯一の肝代謝性)など。
ここまでのまとめ
- 殺菌/静菌
- 濃度依存/時間依存
- 肝代謝/腎代謝
抗菌薬は上記のような特徴で分類できます。
特に太字の方がマイノリティなので、国試対策としてはこちらを覚えることをおすすめします。