閉塞性肺疾患
閉塞性肺疾患には以下がある。
- 気管支喘息
- COPD
- DPB
- LAM
定義は呼吸機能検査(スパイロメトリー)で、FEV1(1秒率)<70%であること。
すなわち、共通しているのは、気道が狭くなるということのみ!
特に気管支喘息に関しては気管が狭くなるのは一過性で、発作が収まれば再び広がる。
また、COPDは気道の狭窄以外にも、肺胞の破壊を伴うことがポイントとなる。
気管支喘息
ハウスダスト、タバコ、ペット、上気道感染などに対する気道過敏性(Ⅰ型アレルギー)で、一過性に粘膜が浮腫み、気道が狭窄する
症状と検査
症状:夜間〜早朝に繰り返す発作性呼吸困難
検査:FEV1(1秒率)<70%
IGE上昇、好酸球上昇=Ⅰ型アレルギー(即時型+遅発型)
呼気時の笛音(Wheezes)
末梢の細い気道が狭窄することで聞こえる音であり、吸気時ではなく呼気時にのみ聞こえる。
治療
①発作時(レリーバー)
短時間作用型β2刺激薬(SABA)の反復吸入
※メプチン®︎
大発作(SpO2<90%)の場合
- ステロイド点滴(全身投与)
- アミノフィリン静注
- アドレナリン皮下注
②長期管理(コントローラー)
- ステロイド吸入
- 長時間作用型β2刺激薬 吸入(LABA)
- 長時間作用型抗コリン薬(LAMA)経口
- ロイコトリエン受容体拮抗薬
- 分子標的薬(オマリズマブ、メポリズマブ、ベンラリズマブなど)
※レルベア®︎(吸入ステロイド+長時間作用型β2刺激薬)
COPD
病態:タバコによる不可逆性末梢気道閉塞 + 肺胞破壊
COPDは慢性気管支炎と肺気腫が組み合わさった病態の「総称」である。
- 慢性気管支炎=痰・咳が2年以上連続し、毎年3ヶ月以上継続するもの(臨床的)
- 肺気腫=肺胞壁の破壊的変化(病理学的)
症状と検査
症状:慢性的な咳嗽、喀痰、労作時呼吸困難
検査:
呼吸機能検査…「気管支拡張薬を使用しても」FEV1(1秒率)<70% =気管支喘息を除外診断!
残機量、肺コンプライアンスの上昇。
いびき音(rhochi、ロンカイ)
見た目…
- ビール樽様胸郭(横から見て分厚い)
- 口すぼめ呼吸(ゆっくり息を吐くと楽)
- 胸鎖乳突筋の肥大(呼吸補助筋の使用)
X線…
※112A26
- 肺野の透過性亢進(肺野が黒く見える)
- 肺の過膨張
- 滴状心(drop heart)
- 横隔膜平定化(肺が縦に長く見える)
CT…
※112A26
- 肺気腫(肺胞壁がなく、黒く抜けている部分)
- 多発するブラ(特に肺尖部)
動脈血ガス…
PaO2減少、PaCO2上昇(Ⅱ型呼吸不全)
治療
①細菌やウイルス感染による急性憎悪期
- 抗菌薬投与
- 短時間型作用型β刺激薬吸入(SABA)
- ステロイド内服/点滴(全身投与)
- 酸素投与
ABCアプローチ
- Antibiotics(抗菌薬)
- Bronchodilators(気管支拡張薬)
- Corticosteroid(ステロイド)
O2投与(CO2ナルコーシスを予防に低濃度から)
②慢性安定期
- 禁煙
- インフルエンザ、肺炎球菌ワクチン(急性憎悪の予防)
- 長時間作用性β2刺激薬吸入(LABA)、長時間作用性吸入抗コリン薬(LAMA)、吸入ステロイド
- 呼吸リハビリテーション(呼吸困難、運動耐容能の改善)
- 在宅O2療法(HOT) 導入最多
まとめ
ポイントとなるのは、治療法の違い!
おおまかには同じだが、気管支喘息の長期管理薬で第一選択となる「吸入ステロイド」は、COPDでは優先順位が低い。
発作時(急性憎悪期):SABA、ステロイド点滴
長期管理(慢性安定期):※吸入ステロイド、LABA、LAMA