胆嚢病変
エコー(超音波)で鑑別を要する、以下の4つの胆嚢病変の画像鑑別ポイントをまとめました。
- 胆嚢癌
- 胆嚢内結石
- 胆嚢ポリープ
- 胆嚢腺筋腫症
胆嚢癌
- 広基性
- 辺縁不整
- 増大傾向
胆嚢の悪性腫瘍です。
エコーでも分かりますが、国試では造影CTで出題されることが多い印象です。
壁から突出する腫瘤の辺縁がモコモコと不整なのが目印です。
※超音波検査法セミナーより引用
胆嚢(内)結石
- 体位変動あり
- 音響陰影(acoustic shadow)
- 胆嚢壁肥厚
いわゆる胆石です。
白く光る石と、その背後の黒い影(音響陰影)が有名すぎる特徴です。
石によってエコービームが遮断されるためにおこります。
体位を変えると石の位置が動くことも鑑別のポイントです。
※100H21
胆嚢ポリープ
- 小さい(1cm以下のことが多い)
- 有茎性
- 多発しやすい
胆嚢粘膜の限局性隆起です。
小さいため、CTでは見えないことがほとんどです。
※107I58
胆嚢腺筋腫症
- 彗星様エコー(commet sign)
- 多発しやすい
- 胆嚢壁肥厚
Rokitansky-Aschoff(ロキタンスキー・アショフ)洞=RASの増生によるものです。
RASは正常の胆嚢にもみられるので、大きくなっていたり、数が増えていることがポイントです。
エコービームがRAS内で反射されることで、背後に白く細長い影(commet sign)が、つららのように多発します。
※101A29A
おまけ:治療
胆嚢癌は悪性腫瘍なので、早期癌であれば腹腔鏡下胆嚢摘出術、進行癌の場合は、化学療法を行います。
その他の疾患は、無症状であれば基本的に経過観察で構いません。
ただし、以下の場合は胆嚢摘出術を考慮します。
- 胆嚢結石が陥頓→胆嚢炎
- 1cm以上の胆嚢ポリープ
- そのほか有症状の場合
胆嚢癌以外の疾患は良性ですが、胆嚢炎や胆嚢癌の原因にもなります。
113D13では、胆嚢癌を伴う胆嚢結石は、腹腔鏡下ではなく開腹手術が選択されることも出題されていました。