- 1年生:一般教養、基礎医学
- 2年生:基礎医学、解剖学実習、組織学実習
- 3年生:臨床医学
- 4年生:臨床医学、CBT、OSCE
- 5年生:臨床実習
- 6年生:臨床実習、国家試験、post-CC OSCE
赤文字:筆記試験、青文字:面接試験、緑文字:実習
一般教養は、英語、数学など普通の大学生と同じ科目。基礎医学は、解剖、組織、発生など、人間の基本構造を学ぶ分野の科目。対して臨床医学は、内科、外科など、実際に医療として確立している分野の科目。
全ての学年で前期・後期の期末試験がある。落ちたら追試験。さらに追試に落ちた科目は、次の学年に持ち越せる場合と、その場で留年となる場合がある!

一般的には難しい試験のある偶数学年(2・4・6)が留年しやすいと言われているよ。
学年ごとの流れ
1年生
医学部は浪人生が多いが、医学生に限らず医師の世界は縦割り(年齢に関係なく学年で上下関係が決まる)なので、年齢に関係なく、まずは周囲の人と仲良くなろう。
新入生歓迎会では、もし入りたい部活が決まっていても複数の部活に顔を出しておくと、他の同級生や上級生と知り合えるチャンスにもなるので、たくさん参加してみよう。
新歓でやらかすと上級生の間で情報が回ってブラックリスト入りすることも。医学部内での情報の速さは異常なので、お酒が飲める年齢の人は注意。
医学書は新歓で貰えるエサなので焦って購入しないように。
新歓後には部活に入部することになる。医学部では部活入部は必須という昭和時代のような雰囲気が今だにある。入りたくなければ、文化系のゆるめ団体にでも幽霊部員として所属しておこう。
まだ医学系の科目がないので一般的な大学生と変わらない生活をてきとうに過ごすことになるが、生物学と統計学だけは真面目に勉強しておこう。生物学は医学の要なので物理選択で受験した人にとっては最低限勉強しておいた方がいいし、「統計学」は医師になって論文を書くときに大事になる。
「1年生は遊んどけ」と上級生が言うのはあながち間違いじゃない。
最大のポイントは、顔を広くしておくと、後々1つの界隈で人間関係が悪くなっても別の界隈に逃げ込めるということ。
医学部という界隈は本当に狭く、合わない人がいてもなかなか遠ざけることが出来ないような環境である。また団体というものは後から入りづらい。
必要がない・合わないと判断すれば抜ければ良いだけので、部活だけでなくインカレ、サークル、バイトなど突っ込めるだけ頭を突っ込むことをおすすめする。
バイトは塾講師か飲食関係が一般的。詳しくは以下の記事を参考に。

そして、落ち着いたら高校や予備校の友達と近況報告をすること。
「医の中の蛙」にならないためにも、他学部の友達は絶対に大事にしよう。
1年生後半
またカップルも多発するが、ここで彼氏・彼女が出来なくても焦らないで欲しい。この時期に出来たカップルのほとんどは卒業までに必ず別れる。
「医学生」を武器に合コンやクラブで遊び始める人も出て来る。実際モテるのかどうかは以下の記事を参考に。

夏休みには医学生だけの運動部の大会である「東医体(とういたい)/西医体(にしいたい)」に初参加することになる。
大会前の練習がキツくて部活を辞める人が続発する。むしろここで辞めないと、その後は辞めづらくなる。
勉強だけでなく運動もできる医学生が多く存在することを目の当たりにし、「文武両道!我医学生ぞ!」と感じるが、一部の優秀な生徒だけである。
一般人はどっちつかずにしておかないと、結局勉強が疎かになって留年する。
また、「解剖学」「組織学」などの基礎医学系科目が始まり、いよいよ医学部らしくなってきたと感じるであろう。
しかし同時に、わけのわからない勉強内容と圧倒的な量に絶望し、「受験期より入学後の方が勉強してる」と言いがち。
エナジードリンクと大量のレジュメを抱えて泣きながら勉強することになる。
ちなみに基礎医学の医学書はいずれ使わなくなるので購入は慎重に。解剖、組織、発生学に関してはレビューをしたので参考にどうぞ。


2年生
初回は張り詰めた空気の中、緊張した面持ちでメスを入れるが、(良い意味で)すぐ慣れる。
焼肉やスクランブルエッグが食べられなくなるなんて迷信。ある意味一般的な感覚とはもはや違う世界にいることを実感する。
法医にでもならない限り二度と検体を解剖させて頂くことはないので、事前に解剖学をしっかり学んで、この機会を無駄にしないように。
座学は引き続き「組織学」「生理学」などの基礎医学系で、科目数も格段に増える。
勉強量が増えることで「真面目さ」だけではどうにもできなくなり、本格的に留年者が出る。平気で下位1/3ほど降り落とす大学もある。
「2年生が一番勉強した」と言う上級生もいるくらい、生き残りをかけて必死に勉強する時期。完全にバトルロワイヤル。
また、そろそろ医学部生活が体に馴染んでくるが、もうすでに他学部と話が合わないことを自覚しなければならない。
鼻血を「キーゼルバッハ部位からの出血」と言ってみても、医学生以外は「?」である。
3年生
わけがわからなかった基礎医学と比べると、「病気」を扱うため医学部感が増して勉強が楽しくなる(はず)。
今までと勉強法も異なり、積み上げてきた基礎医学の知識に、新しい臨床医学の知識を全体的に要領良く取り入れるかたちに変わってくる。
しかし、基礎知識のない薄い臨床知識のみで3年生のテストは乗り越えられてしまうため、医学部生活で最も暇になる。(このような人はCBTで痛い目をみるのだが)
もし余裕を持ちたいなら、この時期からCBT対策の講義動画を見るなど勉強の土台を固めておくのも手。
また、上級生にも下級生にも知り合いが出来るため立ち位置が難しい時期でもある。
幹部として忙しい4年生を支えつつ、2年生の面倒もきちんと見なければいけないため、部活をしている人はおそらく大変。
4年生
大多数は夏で引退し、そこからすぐに病院実習を行う前の全国共通の適正試験である「CBT」&「OSCE」に向けて勉強を始める。
CBTはパソコンで行う試験で、問題がランダムで出題されるため全国の医学生一人一人問題が異なる。勉強範囲も広いうえに過去問も存在しないため、「病気がみえない」と心折れるが医学生も多い。
OSCEは模擬患者さんに対して実際に診察を行えるかを試験する。試験前はカップルでお互いにイチャイチャ診察しあうことが多い。
詳しくは以下の記事を参考に。





どちらも初めての全国共通試験であるため、偏差値の低い医大ほど全体的に気合いが入る。また部活で忙しかった成績下位者が勉強し始めるため、成績上位者が転落して気まずくなるケースも。
合格後は一気に知識がついて、全員医学生らしくなる。
しかしこれでも国家試験の序の口レベル。上級生から見れば「ひよこ」、研修医から見れば「たまご」である。
また、カップルは病院実習前に整理されると言われており、別れと始まりの学年でもある。
内部で付き合っていた人が別れて、外部と付き合いだす例も多い。散々遊んでいた男子医学生が落ち着き始める。
この辺から下級生の顔と学年が一致しなくなる。特に2年生と3年生の区別がつかなくなる。
5年生

現役だと同年代が社会人になる年齢である多いため、「早く医師になりたい」という意見と、「一生、医学生のままがいい」という意見が交錯する。
6年生
引き続き病院実習がある(通称クリクラ)。希望の診療科を回ることができるため、将来進みたい科を選ぶ人から、とにかく楽な科を選ぶ人まで様々。
夏にはマッチングの試験があり、秋には結果が発表される。大学病院に残る人、外部の大学病院に行く人、市中病院に行く人と様々。
倍率が高い病院を志望すると、普通にアンマッチとなり、二次募集、三次募集のある病院を探して這いずり回ることになる。
国家試験は1割が落ちるため、国試合格発表後まで研修先を決めず、空いた枠に滑り込もうとする勇者もいる。
クリクラが終わると、卒業試験がある。
正直、試験は大学によってかなり異なる。ポリクリの合間を縫って5年生から卒業試験が行われるところもあれば、CBT後は国家試験まで試験はないところもある。
卒試は、各科の教授が腕によりをかけて作った「プレ国試」のようなもの。統率を取らずに好き勝手作るので、国試よりもそれぞれの分野を深く追求してくるため、非常に難関。
国試合格率を見かけ上高くするため、国試に受かりそうもない人はここで留年させておこうという大学の魂胆が垣間見える。
2月中旬には、医学部のラスボス「国家試験」が待ち受けている。
9割が受かるため簡単そうに思えるが、毎年留年で削られてきた中で残った猛者たちの中からさらに1割も落ちることを考えれば、かなりのサバイバルである。
国試が終われば、人生最後の長期休みとなり、春からは新たな研修医(レジデント)として、病院でこき使われることになる。
さいごに
6年間、
どうして医学部に入ったのか
を見失わずに、
どんな医師になりたいか
を見つけていくことを目標するとモチベーションが保たれるかと思います。
無事に卒業できることを祈っています!