言葉の定義
ストレート卒業率とは
X年に医学部に入学した者(推薦、一般、現役、浪人など問わず)のうち、最低修業年度で進学し、卒業試験を合格した上で、X+6年で大学を卒業した者の割合です。
すなわち休学、留年した者は除かれます。
新卒国試合格率とは
X-900回医師国家試験においての新卒受験者の合格割合です。
国浪生は含まれませんが、在学中に休学・留年した者は含まれます。
ストレート医師率とは
上記2つの純な値を掛け合わせた概算値です。
新卒国試合格率には在学中に休学・留年した者が含まれますが、卒業試験に合格していることからストレートで進級した医学生と同レベルに達しているとみなしました。
薬剤師国家試験ですが、この記事「私立大薬学部「ストレート」新卒の国試合格率は50%。真のデータはこんなもん」と同じデータの扱いをしています。
2020年ストレート医師率
2014年入学→ストレート卒業→2020年に114回国試受験→ストレート合格
2020年ストレート医師率
2013年入学→ストレート卒業→2019年に113回国試受験→ストレート合格
濃い緑ほど高く、濃い赤ほど低いことを表すよう色分けしてあります。
エリア別では、大きな偏りは無いように思えましたが、強いて言えば九州エリアが全体的に低めという結果になりました。
総合ランキング
緑と赤色に加えて、棒グラフで割合をビジュアル化しました。
Top3 (90%以上)
- 順天堂大学(95%)
- 東京大学、秋田大学(92%)
- 名古屋大学、慶應義塾大学、自治医科大学(91%)
順天堂が僅差で王者となりました。
Worst3
- 帝京大学(52%)
- 東海大学(56%)
- 川崎医科大学(59%)
帝京大学では入学生のうち2人に1人は最短で医師になれないということになります。恐ろしい。
国立/私立別
国立大学では山梨大学(62%)と長崎大学(63%)が低い結果となりました。
私立大学は国立大学と比べると全体的に低い印象がありますね。
また〜東京女子医大(83%)と杏林大学(76%)〜の間で、大きく差があるように思えます。
入試の偏差値との関連
ストレート医師率が高いほど「最短での医師へのなりやすさ」も高くなります。
対して医学部入学試験での難易度が高いほど「医学部への入りにくさ」も高くなります。
この2つを相関する事で、入学難易度は低いが最短で医師国家試験に合格しやすい医大が見つかるのではないかと考えました。
偏差値が低いのにストレート医師率が高いということは、その医学部の教育方針が良いとも捉えられます。(もちろん学生のレベル云々の話もあるとは思いますが)
上記のストレート医師率に加えて、平成24年度入学時の駿台偏差値を引用し、相関係数と散布図を出してみました。
相関係数
相関係数とは、2つのデータに関連があるかを表す値(-1から1)になります。
全体・国立のみではいずれも0.4〜0.7の範囲であり、「正の相関」があるとされました。
また私立のみでは0.7〜1の範囲であり、「強い正の相関」があるとされました。
すなわちストレート医師率と医学部入学試験の偏差値は正の相関があることが分かりました。
入学が難しい医学部ほど、最短で医師になりやすいということです。
散布図
上記データの散布図がこちらです。私立は赤丸、国立は青丸で示しました。
近似線より左上に行くほど「偏差値が低いのに医師になりやすい」、右下に行くほど「偏差値が高いわりに医師になりにくい」と考えられます。
まとめ
ストレート卒業率が国から発表されるようになったのは革新的でしたが、まだ正式なストレート医師率は発表されていません。
前述したとおり、ストレート医師率は擬似的なものであるということと、平成24年度入学というたった1学年分のデータを扱っていることをご了承ください。
そして、これは医学生よりも医学部受験生が知っておくべきデータであることは明らかです。
偏差値、国試合格率などに惑わされずに、教育に力を入れている医学部に入学して、最短で医師になることが大切だと私は考えています。
統計に関しては初心者なので、訂正などお待ちしています。その他ご意見あれば質問箱にお願いします!