大前提
まずは、3つの疾患の病変の首座をきっちり分けて覚えましょう。
AIH(自己免疫性肝炎)=肝細胞が×
PBC(原発性胆汁性胆管炎)=肝内の胆管細胞が×
PSC(原発性硬化性胆管炎)=肝内+肝外の胆管細胞が×
補足:PB「C」
最近、原発性胆汁性「肝硬変」は、原発性胆汁性「胆管炎」に名前が変わりました。
健診での早期発見が進んだことで、肝硬変になる前の状態で見つかることが多くなったためだそうです。
ちなみに肝硬変(Cirrhosis)も胆管炎(Cholangitis)も、略語はCなので、略称は変化せず「PBC」のままです。
HLA
覚え方「形から導く」
AIH→A→4=DR4
PBC→B→8=DR8
PSCで特有のHLAは不明です。
好発年齢
覚え方「名前から導く」
PBC+AIH→oB+Achan(おばちゃん=中年女性)
PSC→oSsan(おっさん=中年男性)+Shounen(少年=若年男性)
PSCの好発年齢は二峰性です。
合併症
覚え方「中年女性好発→膠原病」
PBC、AIHは、膠原病を合併します。
好発年齢が中年女性ということから、容易に導けると思います。
また両者は併存することも知られています。

ちなみに膠原病症状やLE細胞陽性である特殊なAIHのことを、ルポイド肝炎と呼んだりするよ。
覚え方「胆汁性→胆汁うっ滞」
PBCでは、胆汁うっ滞による合併症がみられます。
原発性「胆汁性」胆管炎という名前からも分かる通りです。
具体的には、脂質の吸収低下(→脂肪便)、ビリルビン上昇(直ビ優位)、黄疸などがみられます。
ゴロ「牛(=UC)タン(=胆管癌)」
PSCは、潰瘍性大腸炎(UC)と胆管癌を合併します。
また、UC自体は大腸癌の発生母地となることが知られています。
UCについては、こちらの記事をどうぞ。
抗体の覚えかた
AIH
覚え方「AIH→逆さのA→平」
AIHでは、抗平滑筋抗体が陽性になります。
AIHは膠原病の合併が多いため、抗核抗体が陽性になるだけではAIHを示せないこともポイントです。
ゴロ「平=ハゲ=薄毛のAGA」
また、AIHではIgGが上昇します。
ちょっと厳しいですが、平から導いて覚えましょう。
PBC
覚え方「原発性胆汁性胆管炎=汁=氵=ミ」
PBCでは、抗ミトコンドリア(M2)抗体が陽性になります。
※皮膚筋炎でみられる「抗Mi-2抗体」とは全くの別物なので、気を付けてください。
覚え方「ミ→MI→IgM」
また、PBCではIgMが上昇します。
ミトコンドリアのMなので覚えやすいですね。
PSC
ゴロ「高価なピアノ」
高価→原発性硬化性胆管炎
ピアノ→P-ANCA(MPO-ANCA)
陽性率は低いですが、PSCは意外とANCA陽性疾患のひとつです。
おまけ:治療
AIHは自己免疫疾患なので、副腎皮質ステロイドが有効です。
PBCやPSCでは、胆汁うっ滞の解除のため、胆汁を排泄させる利胆薬(ウルソデオキシコール酸:UDCA)やドレナージ、究極的には肝移植を行います。
※PBC・PSCでは副腎異質ステロイドを使わないことに注意
ちなみに、IgG4関連疾患である「硬化性胆管炎」と原発性硬化性胆管炎(PSC)は別物と考えられています。
硬化性胆管炎については以下の記事をどうぞ。