高尿酸血症≠痛風
症状
高尿酸血症とは血液中の尿酸が7.0mg/dLを超えている状態で、尿酸はこの濃度を超えると尿酸塩結晶として析出し、関節包内に蓄積する。(この状態で10年近くは無症状)
そして、食べ・飲みすぎ、急な運動、治療薬などによって尿酸値が激しく変動すると、好中球が関節内に遊走して結晶を貪食し、痛風発作という激痛(風が吹いても痛い)が10日近く続く。
痛風の好発部位は足の親指の関節(第一中趾節関節=MTP)や足関節など。
▼【112E28】左足の第一中足趾節関節に熱感と圧痛
尿酸は腎排泄されるため、尿路系に蓄積すると尿路結石や腎障害(痛風腎)の原因にもなる。また皮下に蓄積すると、耳などに肉芽組織(痛風結節)を形成する。
検査
患部から穿刺吸引すると、黄色混濁した間接液(ただし白血球数の上昇やGram染色での細菌は認められず感染は否定的)が引ける。
間接液を(偏光)顕微鏡で観察すると、尿酸塩結晶が針状を呈している。
▼【107G46】穿刺で得られた関節液顕微鏡写真(無染色)
治療
痛風発作に対する治療
痛風発作の前兆期(ピリピリとした痛み)にはコルヒチン、発作時の疼痛にはNSAIDs(ロキソニン、インドメタシンなど)を使用する。
コルヒチン適応疾患のゴロ「チン○ン痛い。スウィートにベロちゅー」
チン○ン→コルヒチン
痛い→痛風
スウィートに→Sweet病
ベロ→Bechet病(眼痛)
ちゅー→家族性地中海熱(自己炎症性疾患)
高尿酸血症に対する治療
まず、アルコール(特にビール)やプリン体(カキやレバー)を多く含む食べ物の摂取を制限する。
食事制限に加えて、尿酸産生抑制薬または尿酸排泄促進薬を用いる。(腎障害がある場合は尿酸排泄促進薬は△)
▼いわゆる痛風鍋(尿酸値爆上げするので国試的には禁忌)
先日お客様のご要望によりカキ、たらきく、あん肝を盛り合わせた「痛風鍋」なるものを作らせていただきました!見た目のインパクトも強烈ですが、味の方は唸るくらい美味しかったそうです!要予約で1人前2500円ほどでご用意出来ますよ! pic.twitter.com/BBSmpJLXBa
— 地酒と宮城のうまいもん処 斎太郎 (@saitarou323) 2016年3月7日
尿酸産生抑制薬のゴロ
「笛吹きはプリン作らない」
笛吹きは→フェブキソスタット
プリン→アロプリノール
作らない→産生抑制
尿酸排泄促進薬のゴロ
「プロは便座にマロンぶっこんで流す」
プロは→プロベネシド
便座にマロン→ベンズブロマロン
ぶっこんで→ブコローム
流す→排泄促進
偽痛風との違い
痛風や偽痛風は結晶誘発性関節炎のうちのひとつ。
蓄積物質
偽痛風では、ピロリン酸カルシウム結晶が析出して蓄積する。「偽りの痛風」の名の通り、尿酸値は無関係。
関節液は黄色混濁であり痛風と同様だが、(偏光)顕微鏡で平行四辺形の結晶が観察出来る。
蓄積部位
偽痛風では、関節包だけでなく関節軟骨、靭帯、腱にも蓄積するため、その部位が石灰化してX線で白く映る。
全身の関節におこるが、好発部位は膝関節。
▼【105I40】膝関節軟骨の線状石灰化