MENとは
多発性内分泌腫瘍症〈MEN〉は、遺伝子異常によって様々な内分泌腫瘍を発症する常染色体優性遺伝〈AD〉疾患です。
両者の違いは、原因遺伝子です。
MEN1はがん抑制遺伝子であるMEN遺伝子、MEN2はがん遺伝子であるRET遺伝子の異常によっておこります。
MEN1〈Wermer症候群〉
MEN1では、以下の腫瘍を合併します。
- 下垂体腫瘍(60%に合併、プロラクチノーマが多い)
- 膵腫瘍(95%に合併、ガストリノーマが多い)
- 副甲状腺機能亢進症(60%に合併)
MEN1で合併する腫瘍の語呂合わせ・覚え方「すいすい復興」
すい→下垂体腫瘍
すい→膵腫瘍
復興→副甲状腺機能亢進症

ホリカ
Pituitary(下垂体)・Pancreas(膵臓)・Parathyroid(副甲状腺)の頭文字を取って、「PPP」という覚え方も有名だね。
MEN2
MEN2は、MEN2A、MEN2B、家族性甲状腺髄様癌〈FMTC〉に分けられます。
MEN2A〈Sipple症候群〉は、以下の腫瘍を合併します。
- 副腎髄質腫瘍〈褐色細胞腫〉(60%に合併)
- 甲状腺髄様癌(100%に合併)
- 副甲状腺機能亢進症(10%に合併)
MEN2Bは、以下の腫瘍を合併します。
- 副腎髄質腫瘍〈褐色細胞腫〉(70%に合併)
- 甲状腺髄様癌(100%に合併)
- 粘膜神経腫(100%に合併)

ホリカ
あまり聞き慣れない「粘膜神経腫」は口唇や舌に出来る光沢のある小さな腫瘤だよ。気になったら画像検索してみてね。
MEN2Aで合併する腫瘍の語呂合わせ・覚え方「ずいずい復興」
ずい→甲状腺髄様癌
ずい→副腎髄質腫瘍〈褐色細胞腫〉
復興→副甲状腺機能亢進症
MEN2Aで合併する腫瘍の語呂合わせ・覚え方「ずいずい神になる」
ずい→甲状腺髄様癌
ずい→副腎髄質腫瘍〈褐色細胞腫〉
神→粘膜神経腫
おまけ:自己免疫性多内分泌腺症候群〈APS〉
MENは腫瘍発生によって複数の内分泌器官の機能が亢進してしまう疾患でした。
APSは自己免疫によって複数の内分泌器官の機能が低下する疾患です。
真逆の病態ですが、複数の内分泌器官に跨る疾患という点で共通しているので、ここで押さえましょう。
APSはAIRE遺伝子異常による遺伝疾患で、1型〈HAM症候群〉と2型〈Schmid症候群〉に分けられます。
APS1型で機能低下する内分泌器官の語呂合わせ・覚え方「振って感じたハムの味」
振って→副甲状腺機能低下症=H
感じた→粘膜皮膚カンジタ症(モニリア症)=M
ハム→HAM症候群〈APS1型〉
アジ→(突発性)addison病=A
APS2型で機能低下する内分泌器官の語呂合わせ・覚え方「ま〇この味はしょっぱい」
ま〇こ→慢性甲状腺炎〈橋本病〉
味→(突発性)addison病
しょっぱい→Schmid症候群