急性腎不全での緊急血液透析導入基準
急性腎不全では、
- 乏尿が3日以上続く
- 血液尿素窒素(BUN)が60mg/dl以上で、1日当たり10mg/dl前後づつ上昇する
- 血清クレアチニン値(S-Cr)が 5mg/dl以上で、1日当たり1mg/dl前後づつ上昇する
- Base Excessが-15mEq/L 以下に低下
- 尿毒症症状がみられる
- 血清K値が6.0mEq/L以上で、薬剤による治療では上昇が抑制できないとき
以上のどれか一つがみられる時、緊急血液透析を行います。
透析導入の適応は“AIUEO”〔Acidosis(アシドーシス),Intoxication(薬物中毒),Uremic symptoms(尿毒症症状),Electrolyte disturbance(電解質異常),volume Overload(体液過剰)〕で考える.
◎急性期の透析導入の適応は,急性腎障害に伴う“E”の電解質異常(主に高カリウム血症)と“O”の体液過剰(肺水腫)が中心である.
◎慢性期の透析導入の適応は末期慢性腎臓病に伴う“U”の尿毒症症状が中心である.
練習問題
100G104
、血液透析の開始を検討する。
6の「薬剤による治療」とは、次のものをいう
8.5% グルコン酸Ca液(20 ml)静注
7% 重曹液(50 ml)静注
Kイオン交換樹脂(15、30、50g)の経口または注腸的投与
インスリングルコース液(グルコース10gにインスリン1単位の割合)500 ml点滴
ゴロ「6,7,8なら透析室へ行こう!」
6→K>6mEq/L
7→Cr>7mEq/L
8→80→BUN>80mg/dL ※8ではないことに注意
行こう→15→HCO3-<15mEq/L
解説
本来捨てるべきはずのK、Cr(筋肉のゴミ)、BUN(蛋白のゴミ)が上昇しており、かつ重炭酸イオンを失うことで代謝性アシドーシスになっている状態です。
ゴロと対応する検査値が覚えられない場合は、
「6、 7、8(0)、15」=「K、Cr、BUN、HCO3-」
数字の順番が文字数順であることと、合わせ技で覚えましょう!
透析導入の原因疾患
ゴロ「とうとう慢心で事故」
透析導入の原因疾患
1位 糖尿病性腎症(43.5%)
2位 慢性糸球体腎炎(17.8%)
3位 腎硬化症(14.2%)
解説
106E67でグラフが出題されてましたね。
半分近くがDMによる腎障害で、透析導入となっています。
IgA腎症などの慢性糸球体腎炎は健診での早期発見により減少しているようです。
逆に腎硬化症は高血圧による動脈硬化が原因であり、高齢化に伴って増加しています。
今後、高齢化によって3位・2位が逆転する可能性は大いにありそうです。
ちなみに4位は原疾患不明(11.3%)です。
おまけ:慢性透析患者の死因
ゴロ「しかも運悪いので死亡」
1位 心不全(26.0%)
2位 感染症(22.0%)
3位 悪性腫瘍(9.3%)
4位 脳血管障害(6.6%)
「とうとう慢心で事故」と合わせて覚えると良いと思います。
感染症による死亡は、高齢化に伴い増加しています。
こちらも今後順位が逆転しそうですね。