原発性肺癌の種類
原発性肺癌の組織分類には、
- 腺癌
- 大細胞癌
- 扁平上皮癌
- 小細胞癌
などがあります。
非小細胞癌と小細胞癌では病期による治療選択が異なるので、特に区別する必要があります。
それぞれの特徴をみていきましょう!
頻度別
組織分類においての頻度は、「名前の最初の1文字の画数」で覚えます。
頻度の高い順と、画数の多い順は一致します。
- 1位(45%)=腺(13画)癌
- 2位(25%)=扁(9画)平上皮癌
- 3位(15%)=小(3画)細胞癌
大細胞癌について
大細胞癌は5%と少ないので、覚え方は省略します。
特徴として、hCGの上昇と、CTでのnotch sign(八つ頭状陰影)をきたすことは頭の片隅に入れておきましょう。
リスク因子と好発部位別
扁平上皮癌と小細胞癌に関しては、合わせて「SSS」で覚えます。
まず、Smoke(喫煙)がリスクになるのは、Squamous&Small(扁平上皮癌と小細胞癌)です。
さらに、タバコ煙は気道から入ってくるので、両者は肺の中枢に好発することも覚えられます。
胸部X線所見としては、扁平上皮癌:空洞性病変や無気肺、小細胞癌:肺門周囲のリンパ節腫大をきたしやすいです。
腺癌に関しては、扁平上皮癌と小細胞癌の逆を考えます。
扁平上皮癌と小細胞癌は肺の中枢に好発しましたが、腺癌は肺の末梢に好発します。
胸部X線所見として、腺癌:胸膜陥入像、spiculaをきたしやすいです。
合併症別
小細胞癌の合併症のゴロ合わせ・覚え方
まず、小細胞癌は肺門周囲への転移が多いため、リンパ節転移による合併症を押さえます。
①縦郭リンパ節転移による上大静脈症候群
上大静脈が狭窄するので、顔面の浮腫や下行性の側副血行路ができます。
②左傍大動脈リンパ節転移による反回神経麻痺
左迷走神経は左大動脈弓を反回するので、障害されると嗄声がおこります。
次に、リンパ節転移以外の合併症を「Small Lung Cancer」のゴロ合わせで覚えます。
- Small→SIADH
- Lung→Lambert-Eaton症候群
- Cancer→(異所性)Cushing症候群
小細胞癌は、ADHやACTHなどのホルモンを異所性に産生します。
また、小細胞癌は傍腫瘍性神経症候群の原因として有名です。
抗VGCC抗体を産生してL-E症候群を引き起こしたり、抗Hu抗体を産生して脳脊髄炎を引き起こしたりします。
扁平上皮癌の合併症のゴロ合わせ・覚え方
扁平上皮癌の合併症は「3P」で覚えます。
- 扁平(P)上皮癌
- PTH-rP産生
- Pancoast症候群
異所性PTHの産生により、高Ca低P血症になります。
Pancoast腫瘍(肺尖部の腫瘍)により、交感神経を傷害し、Horner症候群をひきおこします。