精神科で行う心理検査
心理検査には、
- 知能検査
- 発達検査
- 人格検査(投影法、質問紙法、作業能力検査法)
- 前頭葉検査
- 高次機能(失語・失行・失認など)検査
- 認知機能検査:MMSE、HDS-R
- 記憶検査:WMS(Wechsler記憶検査)、Rivermead行動記憶検査など
- 評価尺度(重症度の検査)
など数多くあります。
国試の傾向から考えると、
- どのような障害を調べる検査か(人格、発達、知能など)
- どのように行う検査か(自記式、質問紙など)
- どのような疾患のために行う検査か(認知症、うつ病など)
が大事かと思います。
全て覚えるというよりは、よく行われているものについてきちんと理解する方が大事です。
それではみていきましょう。
知能検査
- 田中・Binet式知能検査
- WISC(ウィスク)=Wechsler Children Intelligence Scale
- WAIS(ウェイス)=Wechsler Adult Intelligence Scale
田中・Binet式とWISCは子供、WAISは大人に行います。
算数、積み木、パズルなどを行ってもらい、IQを調べます。
適応:知的障害など
発達検査
- 津守・稲毛式発達検査
- Denver式発達スクリーニング検査
- 遠城寺式乳幼児分析的発達検査法
津守・稲毛(つもり・いなげ)式は、子供の発達状況を親に質問して、評価します。
Denver式や遠城寺式は、乳幼児健診でも用いられるスクリーニング検査で、子供の行動から発達状況を評価します。

親に聞いて、子供に聞いた「つもり」になるってね。うまい?
適応:自閉症、ADHDなど
人格検査
投影法
- Rorschachテスト:左右対称のインクのシミから被験者が想像したものを答えてもらう
- ソンディ・テスト:顔写真が印刷された48枚のカードを一定の手続きで被験者に示し、好き・嫌いの基準でカードを選んでもらう
- バウムテスト(ツリーテスト):木を描いてもらう
- SCT(文章完成法テスト):不完全な文章を自由に補い全文を作ってもらう
- TAT(主題〈絵画〉統覚検査):主題が曖昧な絵から物語を作ってもらう
- P-Fスタディ(絵画欲求不満検査):欲求不満が生まれる日常的な場面が描かれた絵において欲求不満者のセリフを考えてもらう
投影法の特徴として、
- 無意識な心理の分析が可能(意図的な回答の操作が難しいため)
- 心理的負担が大きい(有症状時は悪化に注意)
- 時間がかかる(1時間前後)
などがあります。
参考:文章完成テスト(理学療法士国家試験より)
投影法の語呂合わせ・覚え方
「えいっとローソンのバウムクーヘン分解」
えいっと→投影法
ロー→Rorschachテスト
ソン→ソンディ・テスト
バウムクーヘン→バウムテスト
分→文章完成テスト(SCT)
解→絵画欲求不満検査(P-Fスタディ)
だい→主題〈絵画〉統覚テスト(TAT)
質問紙法
- Y-G性格検査(矢田部-Guildford性格検査)
- MMPI(Minnesota多面人格目録)
- MPI(モーズレイ人格目録)
- エゴグラム
質問が書かれた用紙に対して、「はい」「いいえ」「どちらでもない」のどれかに〇をつけて記入してもらう検査です。
MPIは80問、Y-G性格検査は120問、なんとMMPIは550問の質問があります。
参考:Y-G性格検査(私が行ったもの)
作業能力検査法
- 内田クレペリン精神検査:数字が並んだ行列の足し算を繰り返してもらう
前頭葉検査
- FAB=Frontal Assessment Battery:6つの課題を行ってもらう
- WCST=Wisconsin Card Sorting Test:文字やイラストの描かれたカードをカテゴリーごとに並び替えてもらう ※WCSTは前頭葉という言葉が含まれていないので注意
脳の高次機能のなかでも、特に前頭葉をみる検査です。
前頭葉が障害されると、人格変化がおこります。
例:WCSTのイメージ
適応:前頭葉機能障害
認知機能検査
- MMSE=Mini-Mental State Examination
- HDS-R=改定長谷川式簡易知的評価スケール
MMSEでは23点以下、HDS-Rでは20点以下で認知症疑いになります。
適応:認知症
評価尺度
全般的
- BPRS(簡易精神症状評価尺度)=brief psychiatry rating scale:18項目の精神症状について検者が質問し検者が記入して重症度を評価する
- CMI(Cornell Medical Index)健康調査表:身体項目12系統と精神項目6系統について症状の程度を記入してもらう、問診表に近い
不安障害
- STAI(状態‐特性不安尺度)=State-Trait Anxiety Inventory:特性不安と状態不安の計40項目において当てはまる段階を記入する
うつ病
- CES-D(うつ病自己評価尺度)=The Center for Epidemiologic Studies Depression Scale
- Hamiltonうつ病評価尺度
- Beckうつ病自己評価尺度
- Zungうつ病自己評価尺度
- GDS(老年期うつ病評価尺度)=Geriatric depression scale
- エジンバラ産後うつ病自己質問票〈EPDS〉
※「自己」とつくものは自記式
おまけ:患者が書くか(自記式)、医師が書くか
内容を問いかける(質問法)にあたって、
- 被検者が質問を自分で読んで、自分で答えを記入する(自記式)
- 検者が被検者に質問し、返答を検者が記入する
という二つの方法があります。
自記式でない質問法の語呂合わせ・覚え方
「ハロゥと簡単に聞いてみる」
ハ→Hamiltonうつ病評価尺度
ロゥ→老年期うつ病評価尺度(GDS)
簡単→簡易精神症状評価尺度(BPRS)
聞いてみる→検者が質問して、検者が記入する
まとめ
精神科で行われる心理検査を覚えるには、
- どのような障害を調べる検査か(人格、発達、知能など)
- どのように行う検査か(自記式、質問紙など)
- どのような疾患のために行う検査か(認知症、うつ病など)
が大事です。
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