有機リン中毒の症状と治療薬
ゴロ「リンに夢中で頭パァ」
リン→有機リン
~症状~
に→ニコチン作用(@神経筋接合部)
夢→ムスカリン作用(@副交感神経)
中→中枢神経刺激作用
で頭
~治療薬~
パ→PAM(ヨウ化プラリドキシム)
ア→(硫酸)アトロピン
解説
有機リンは殺虫剤に含まれます。
作用としてはChE(コリンエステラーゼ)活性を阻害するため、アセチルコリンが分解されにくくなり、AChが増加します。
ゴロにもある通り、AChの作用は3つです。
- ニコチン受容体(@神経筋接合部)に作用→線維束性収縮、筋力低下など
- ムスカリン受容(@副交感神経)に作用→縮瞳、発汗、徐脈など
- 中枢神経を刺激→頭痛、嘔吐、けいれんなど
治療は硫酸アトロピン(抗ムスカリン作用)と、PAM(ヨウ化プラリドキシム)の静注です。
PAMは有機リンをChEから解離させるという特異的な薬ですが、時間が経つと解離しなくなる(エイジング)ため、なるべく早期(24h以内)の投与が望まれます。
Achの復習
アセチルコリン(Ach)は神経末端から放出される神経伝達物質です。
- 自律神経(交感神経・副交感神経)の節前~節後(=神経節)
- 副交感神経の節後~効果器
- 神経末端~筋(=神経筋接合部)
おまけ:カルバメート中毒
有機リンと同く殺虫剤に含まれ、ChE阻害作用を持つ化合物です。
別名ウレタンで、アルコールとイソシアネートによって合成されます。
PAMは有機リンをChEから解離させる薬であるため、カルバメート中毒では無効です。
したがってアトロピン単独で治療します。