筋強直性ジストロフィーの特徴
国試的には、いわゆる筋ジスの例外としてキーワード満載の疾患。
他の疾患と比較しながら覚えましょう。
常染色体優性遺伝(AD)
筋強直性ジストロフィーは常染色体優性遺伝(AD)です。
Duchene型とBecker型は性染色体劣性遺伝(XR)、福山型は常染色体劣性型(AR)なのできちんと区別しましょう。
関連する疾患と遺伝形式のまとめ
常染色体優性遺伝(AD):筋強直性ジストロフィー
常染色体劣性型(AR):福山型筋ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症(SMA)
性染色体劣性遺伝(XR):Duchene型(&Becker型)筋ジストロフィー、球脊髄性筋萎縮症(SBMA)
中年に好発
筋強直性ジストロフィーは成人~中年に好発します。
他の筋ジストロフィーは小児に好発するので区別しましょう。

症状のハゲ(前頭部若禿)と関連付けて覚えると良いかも。
triplet repeat病
筋強直性ジストロフィーはトリプレット・リピート病のひとつで、ゲノム内のCTGリピートが異常に伸長しています。
トリプレット・リピート病では、世代を経るごとに発症年齢が若年化し、疾患の病態がより重篤になる「表現促進現象 (anticipation)」が認められることも押さえておきましょう。
ゴロ「3人のましゃに舞い上がって、緊張して、急に萎縮」
3人の→triplet repeat病
ましゃ(福山雅治の愛称)→Machado-Joseph(マシャド・ジョセフ)病=SCA-3
舞い上がって→Huntington病(舞踏病)
緊張して→筋強直性ジストロフィー
急に萎縮→球脊髄性筋萎縮症(SBMA)=Kennedy-Alter-Sung症候群
筋障害だが、遠位筋優位
筋強直性ジストロフィーは、いわゆる「キンキンの大原則」(筋障害=近位筋優位に障害)の例外であり、遠位筋から障害されていきます。
キンキンの大原則の例外疾患
- 脊髄性筋萎縮症(SMA)
- 球脊髄性筋萎縮症(SBMA)
- 筋強直性ジストロフィー
※トリプレット・リピート病:SMA×、SBMA〇
※遺伝形式:SMA=AR、SBMA=XR
ミオトニア
ミオトニアは、他の筋ジストロフィーではみられない筋強直性ジストロフィー特有の症状です。
- 把握性(grip)ミオトニア=電車でつり革から手が離れない
- 叩打性(percussion)ミオトニア=舌をたたくとクローバー状に収縮する
針筋電図で、安静時にミオトニー放電(急降下爆撃音が聞こえる)がみられることも有名です。
参考:ミオトニア現象ビデオ(一度見ておくことをおすすめします!)
筋強直性ジストロフィーの症状
ゴロ「はっと視線を認知、ハゲはいかんのぅ」
は→白内障
っと→糖尿病(耐糖能異常)
視→心筋障害(房室ブロックなど)
線→性腺機能低下(精巣萎縮など)
を
認知→認知症(知能低下)
ハゲ→前頭部若禿
は
いかん→易感染性(リンパ球、免疫グロブリン低下)
のぉ→オノ様(hatchet )顔貌