潰瘍性大腸炎〈UC〉とChron病の共通所見
- 炎症性腸疾患〈IBD〉※Behcet病なども
- 若年発症
- 原因不明のため難病指定(患者数↑)
- 皮膚症状(壊疽性膿皮症、結節性紅斑など)
- 虹彩炎
- 関節炎(強直性脊椎炎など)
- アフタ性口内炎
- 悪性腫瘍(UCでは大腸癌、Chron病では肛門癌)
- 骨粗鬆症
- 血栓性静脈炎
- 治療はアミノサリチル酸製剤(メサラジン、5-ASA製剤)や副腎皮質ステロイドの内服

UCとChron病の共通所見は、Behcet病の症状として覚えている人が多いかもしれないね。炎症性腸疾患〈IBD〉での共通所見なんだ。


Chron病
主要所見+α
ゴロ「悲恋を全公開、医師悲観したって」
悲恋→非連続性(skip lesion)
全→全層性の不均衡炎症(→瘻孔)
公→肛門病変(痔瘻)
開→回盲部始まり(→全腸にわたる炎症→吸収不良症候群)
医師→敷石像(Cobble stone appearance)
悲観→非乾酪性類上皮肉芽腫
したって→縦走潰瘍

SCA GF(スカンジナビアのガールフレンド)というゴロが有名だけど、日本人には覚えにくいんだよね~。
解説
クローン病の特徴をまとめました。
特に赤字(敷石像、非乾酪性類上皮肉芽腫、縦走潰瘍)は診断基準における主要所見なので、しっかり押さえましょう。
「Cobble stone」は玉石という意味で、腫れあがった粘膜が、丸みを帯びた石が敷き詰められた石畳に見えることからつけられました。
※101E19
縦走潰瘍があると、注腸造影で腸がギョウザ状(片側のみデコボコするため)に見えます。
縦走潰瘍は虚血性大腸炎でもみられますが、好発年齢や臨床像から鑑別は容易です。
※100A28
回盲部に好発するものとしては、腸結核や腸管ベーチェット病などもあります。
消化管全体(特に小腸)の炎症による吸収不良症候群がおきるため、治療ではアミノサリチル酸製剤に加えて経腸栄養を行います。
粘膜全層の炎症によって、消化管穿孔や瘻孔(肛門の難治性痔瘻)をきたします。
おまけ:吸収不良症候群
Chron病、慢性膵炎、胃切除後、乳糖不耐症などでおこります。
検査は、SudanⅢ染色(脂肪吸収の評価)、BT-PABA試験(蛋白吸収の評価)などが有名です。
潰瘍性大腸炎
主要所見+α
ゴロ「硬くてデカい鉄パイプ、坂でポリスに見えないのよ」
硬くて→硬化性胆管炎(PSC)
デカい→中毒性巨大結腸症(炎症による麻痺性イレウス)&サイトメガロウイルス(CMV)腸炎
鉄パイプ→鉛管像(lead pipe)
坂→杯細胞の減少
ポリス→偽ポリポーシス
見えない→血管透見性消失
のよ→陰窩膿瘍
解説
大腸の炎症により、ヒダ(ハウストラ)が消失すると、真っ直ぐなパイプのように見えるので、鉛管像と呼ばれます。
※100I28
また、島状に残された正常粘膜がポリープのように見えるので、偽ポリポーシスと呼ばれます。
炎症細胞によって粘膜が厚くなるので、粘膜下の血管が見えなくなります。(加齢によって粘膜が萎縮し薄くなると逆に透見性が亢進します)
※100F28
青字(PSC、中毒性巨大結腸症、CMV腸炎)は合併症です。(大腸癌も忘れずに)
合併症がかなり激しいもののためか、免疫抑制剤(タクロリムス)投与や外科的手術が行われるのもUCの特徴です。
PSCについてはこちらの記事をどうぞ。
重症度判定基準
ゴロ「脈打つ関根のケツ毛はヘビの様」
脈打つ→脈拍 90回以上
関→赤沈 30mm/hr以上
根の→37.5℃以上の発熱
ケツ→血便あり
毛→6回/日以上の下痢
へびの様→Hb 10g/dL以下
解説
名前の通り大腸に炎症が限局するため、血便や下痢といった症状がメインになります。
余力があれば数値まで覚えましょう。