Twitter医師国試模試

【Bブロック】問題と解説まとめ

Twitter医師国試模試
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B1 必修的事項 必修一般

問題

採血手技について誤っているのはどれか。

  1. 駆血帯を緩めてから針を抜く。
  2. 一連の手技は手袋を着用して行う。
  3. 動脈血ガス穿刺後は5分ほど圧迫を行う。
  4. 血管穿刺はアルコールが乾いてから行う。
  5. 血液培養の検体採取では鼠経部を第一選択とする。

解説

【テーマ】採血

【正答】e

鼠経部は雑菌が多く、避けれるなら避けたい。行う場合は可能な限り清潔になるように徹底する。

作問者コメント

きよすけ
きよすけ

たまたまかもですが、僕が見た血培は鼠径部からの採血が多かったんですよ。うちの大学の卒試で出てて「あ、避けるべきなの!?」と思ったので作問しました。避けるべきらしいですよ。

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B2 公衆衛生 必修一般

割れ問

問題

医療記録の保存義務期間が最も長いのはどれか。

  1. 血液製剤記録
  2. 看護記録
  3. 手術記録
  4. 処方箋
  5. 診療録

解説

【テーマ】保存期間

【正答】a

  1. 20年 薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)
  2. 2年 医療法
  3. 2年 医療法
  4. 3年 薬剤師法
  5. 5年 医師法

作問者コメント

みっきそ
みっきそ

保存義務期間に関しての出題は近年の国家試験にしばしばみられます。知らなかったとしても「血液にはまだまだ未知の微生物がいるかもしれない、だから(20年もの)長期間の記録の保存が必要かも」と考えてもらいたかったんです。

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B3 神経 必修一般

問題

Horner症候群について誤っているのはどれか。

  1. 交感神経系の障害である。
  2. 軽度の眼瞼下垂を呈する。
  3. 涙が流れることがある。
  4. 顔面蒼白を呈する。
  5. 眼裂狭小を呈する。

解説

【テーマ】Horner症候群

【正答】d

Horner症候群は交感神経系の障害なので、副交感神経優位の所見を認めます。軽度の眼瞼下垂、縮瞳、流涙、発汗低下、顔面発赤などを呈します。

作問者コメント

いつまでたっても副交感神経優位と顔面発赤が結び付きません…。自戒の気持ちを込めて作りました。戦うとき、逃げる時って顔赤くなりそうなイメージなのですが…。

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B4 救急 必修一般

問題

SOFAスコアの項目に含まれないのはどれか。

  1. LD
  2. GCS
  3. 尿量
  4. ビリルビン
  5. クレアチニン

解説

【テーマ】SOFAスコア

【正答】a

SOFAスコアの項目は、GCSP/F、血小板数、BilCre、尿量、血圧です。LDは該当していません。

敗血症はいわゆる感染症にさらに臓器障害を伴った場合であり、SOFAスコアでその臓器障害をみますが、敗血症性ショックを見るときには、これに加え輸液への反応がないこと、ノルアドレナリンが血圧の保持に必要なこと、乳酸値>2mmoL/Lを見る必要があります。

作問者コメント

ら医おん
ら医おん

SOFAスコアに関する問題が113回にあったので出題。LDはよく引っ掛け選択肢にあるような気がします。

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作問者コメント

trino246
trino246

113回にqSOFAでたから、114回はSOFAでしょという安易な考えで作りました。

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B5 必修的事項 必修一般

問題

女性への膀胱留置カテーテルの挿入方法の手順①〜⑤を示す。

正しいのはどれか。

①外尿道口から肛門側に向かってエタノール消毒する。

②カテーテル挿入時は息こらえをしてもらう。

③カテーテル挿入時は尿が流出してきたところからさらに20cm程度奥へ挿入する。

④バルーン内には生理食塩水を注入する。

⑤カテーテル挿入後は大腿部内側か下腹部にテープで固定する。

解説

【テーマ】 尿道カテーテル

【正答】e

  1. エタノール→ポピドンヨード:粘膜にエタノールは禁忌である。
  2. 息こらえ→息を吐く
  3. 20cm→2cm:尿が流出してきたらカテーテルは膀胱内に入っています。後2cm挿入するだけで十分で、それ以上奥に挿入すると膀胱内でとぐろを巻いたり絡まったりしてしまう。
  4. 生理食塩水→蒸留水:生理食塩水だと塩がカテーテル内で固まり、抜去できなくなる。
  5. 正しい。

作問者コメント

みっきそ
みっきそ

ほとんどの学生が手順を示されれば順番を選べると思います。臨床の場では導尿キットがあるため、①のように陰部にエタノールを塗ることは考えにくいですが、陰部をはじめとして粘膜にエタノールは禁忌です。痛いです。ヒリヒリします。

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B6 循環器 必修一般

問題

心臓にある弁の位置関係について、次の文章のX・Y・Zに当てはまるのはどれか。

「肺動脈弁は、大動脈弁から見てX方・Y方・Z方に存在する」

  1. X=上、Y=前、Z=左
  2. X=上、Y=前、Z=右
  3. X=下、Y=前、Z=左
  4. X=下、Y=後、Z=左
  5. X=下、Y=後、Z=右

解説

【テーマ】弁の位置関係

【正答】a

大動脈弁から見ると前方左斜め上に肺動脈弁が存在します。

画像引用:東邦大学医療センター大橋病院心臓血管外科

作問者コメント

ちちもげ
ちちもげ

立体的に想像できると良いですね。解剖実習で見たものを思い出しましょう。

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B7 耳鼻咽喉科 必修一般

問題

聴覚障害者が運転する自動車への掲示が義務付けられているマークはどれか。

解説

【テーマ】聴覚障害者の運転

【正答】b

聴覚障害者のマークというのは知られておりません。世間一般に啓発が必要ですが、その前に医師が知っておかなければならないと思います。「耳」をモチーフにしたかわいらしいマークになっています。おそらく「聴」と「蝶」が掛かっています。

なお、dは身体障害者のマークです。

【参考】耳鼻咽喉科専門医試験

作問者コメント

ゑびす
ゑびす

「障害者の権利」は近年声高に言われています。それにまつわる問題は増えていくと予想します。

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B8 公衆衛生 必修一般

問題

政府は、令和5年度より1万円札などの紙幣を20年ぶりに刷新する方針を固め、麻生財務相が平成31年4月9日午前の会見で発表した。以下に概略を示す。

2024年度上半期より、日本の紙幣が一新されます。新しいお札の顔は、1万円札が渋沢栄一、5千円札が津田梅子、千円札が〇〇〇〇〇となります。裏面はそれぞれ、東京駅、藤の花、富嶽三十六景になります。

千円札の顔となるのは日本の歴史上の医師であった。その人物が初めて血清療法を発見した細菌はどれか。

  1. 結核菌
  2. 赤痢菌
  3. 破傷風菌
  4. ペスト菌
  5. コレラ菌

解説

【テーマ】医学史

【正答】c

千円札の顔となるのは北里柴三郎である。彼は「日本の細菌学の父」として知られ、破傷風の治療法を開発した。

  1. 結核菌:コッホが発見した。
  2. 赤痢菌:志賀潔が発見した。
  3. 破傷風菌:破傷風菌自体は以前から発見されていたが、北里柴三郎が純粋培養に成功し、血清療法を開発した。
  4. ペスト菌:北里柴三郎とほぼ同時期に別の医師も発見し、後に同じ菌と判明した。双方が発見者として認められている。
  5. コレラ菌:コッホが発見した。

参考:2024年度からの新札デザイン

作問者コメント

ホリカ
ホリカ

北里柴三郎が創設したのは、北里大学ではなく慶応大学医学科(現・医学部)だよ。ホリカも知ってるよ。

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B9 神経 必修一般

問題

左上肢の感覚と伝導路が通る部位との組み合わせで正しいのはどれか。

  1. 温覚-右脊髄後索
  2. 痛覚-右脊髄側索
  3. 位置覚-右脊髄後索
  4. 振動覚-左脊髄側索
  5. 粗大な触圧覚-左脊髄前索

解説

【テーマ】神経伝導路

【正答】b

左上肢の温痛覚(表在感覚)は、左脊髄後角から入力され、対側(右)の脊髄側索前方を上行する。

左上肢の位置・振動覚(深部感覚)は、左脊髄後索から入力され、そのまま上行する。

左上肢の粗大な触圧覚は、左脊髄後角から入力され、対側(右)の脊髄前索を上行する。

したがって、選択肢を正しく直すと以下のようになる。

  1. 温覚ー右脊髄側索
  2. 痛覚ー右脊髄側索(正解)
  3. 位置覚ー左脊髄後索
  4. 振動覚ー左脊髄後索
  5. 粗大な触圧覚ー右脊髄前索

【参考】理学療法士国試

作問者コメント

ちちもげ
ちちもげ

落としたくない問題です。神経のキホンのキです。

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B10 整形外科 必修一般

問題

深腓骨神経支配の筋はどれか。

  1. 腓腹筋
  2. ヒラメ筋
  3. 前脛骨筋
  4. 大腿四頭筋
  5. 大腿筋膜張筋

解説

【テーマ】腓骨神経

【正答】c

  1. 脛骨神経支配
  2. 脛骨神経支配
  3. 深腓骨神経支配
  4. 大腿神経支配
  5. 上殿神経支配

 

作問者コメント

おると
おると

臨床において腓骨神経麻痺はどの科でも起こり得る頻度の高い疾患です。前脛骨筋の麻痺が特徴。覚えておいて損はないでしょう。支配神経の問題は僕の年に上肢で出たので、またいつか出るかもしれませんね。

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フリドク~フリーランスドクターが医師転職・バイト・ライフスタイルを考える~

B11 感染症 必修一般

問題

ヒトには感染しないと考えられているのはどれか。

  1. 伝達性海綿状脳症〈BSE〉
  2. リフトバレー熱
  3. ブルセラ病
  4. 豚コレラ
  5. 狂犬病

解説

【テーマ】家畜伝染病

【正答】d

選択肢にあるのはすべて家畜伝染病です。

伝達性海綿状脳症〈BSE〉は、2000年代初頭に、日本での発生から始まり、産地偽装や米国からの牛肉輸入禁止など多くの問題をおこした感染症です。BSEに感染した牛肉を食べることで、ヒトでも異常プリオンの蓄積がおこり、クロイツフェルトヤコブ病〈CJD〉が発生しかねないとされています。

リフトバレー熱、ブルセラ病、狂犬病は、いずれも人畜共通感染症として有名なもので、4類感染症に分類されます。

豚コレラは、豚コレラウイルスによる感染症で、ヒトには感染しません。2018年9月ごろから日本でも感染の拡大がみられ、問題となっています。

【参考】105E32

作問者コメント

ちちもげ
ちちもげ

「ぶた」コレラではなく、「とん」コレラです。

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B12 肝胆膵 必修一般

問題

肝硬変で増加するのはどれか。

  1. 血小板数
  2. Fischer比
  3. 血清アルブミン値
  4. 血清γグロブリン値
  5. 血清コレステロール値

解説

【テーマ】肝硬変

【正答】d

肝硬変では,選択肢cにあるようにアルブミンなどタンパク合成は低下する。これは,肝外の網内系で生成の増加が行われているからである。

【参考】111A3、108D18、105E34

作問者コメント

れお
れお

最参考にした111A3、108D18ではどちらも正答率90%前後となっており、肝硬変でγグロブリン↑となる事実は賢明な受験生諸氏なら一度は目にした事実だと思う。105E34でも出題が確認されており、3年おきに出題されているため、111回の次は114回だろうという安直な考えのもとに予想してみた。予想正答率:80%

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B13 肝胆膵 必修一般

難問のため全員正解としました

問題

脂肪肝を疑う所見でないのはどれか。

  1. 血液検査において、ALT優位の肝酵素上昇がある。
  2. 単純CTにおいて、肝臓の血管陰影が不明瞭である。
  3. 造影CTにおいて、肝臓が脾臓よりも低吸収である。
  4. エコーにおいて、肝臓が腎髄質と同程度の輝度である。
  5. Chemical shift imagingにおいて、in phaseに比べてout of phaseで信号低下を認める。

解説

【テーマ】脂肪肝を疑う所見

【正答】c

単純CTにおいて肝臓<脾臓なら正解。

脾臓は血流の多い臓器なので、造影では必然的に高吸収となる。

作問者コメント

画像検査の正常を頭に入れておけば、異常に気づきやすいはずです。

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B14 総論的事項 必修一般

問題

疼痛の評価尺度でないのはどれか。

  1. Faces Pain Scale〈FPS〉
  2. Verbal Rating Scale〈VRS〉
  3. Visual Analogue Scale〈VAS〉
  4. Numerical Rating Scale〈NRS〉
  5. Wechsler Adult Intelligence Scale〈WAIS〉

解説

【テーマ】痛みスケール

【正答】e

Wechsler Adult Intelligence Scale〈WAIS〉は知能の評価尺度で、残りの4つは痛みの評価尺度です。

いずれも11段階(0~10)で痛みを評価してもらうもので、一般的にはNRSが用いられます。

【参考】日本緩和学会HP(画像出典)

作問者コメント

ちちもげ
ちちもげ

Faces Pain Scale〈FPS〉は「痛み」以外の感情をイラストから捉えてしまうことが問題となっています。少しの痛みでも泣きたいとき、ありますからね…。

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B15 総論的事項 必修一般

問題

医療者の日常としての行動で最も相応しくないのはどれか。

  1. 日頃よりAEDの場所を把握しておく。
  2. 目の前で倒れた人を見つけたら、急いで駆け寄る。
  3. 対象が成人の場合、人工呼吸と胸骨圧迫なら胸骨圧迫を優先する。
  4. 周囲の人に手助けを頼むときは、その人の服装の特徴などをとらえて呼びかける。
  5. 周囲の人に手助けを頼むときは、救急車要請、AED要請、多くの人を集めてくることを頼む。

解説

【テーマ】医療者の日常

【正答】b

駆けつける前に周囲の安全確認をしましょう。車の往来がある場所なら、急に駆け寄るのは危険ですし、登山道などだと、ガスなど「倒れる原因」となったものがまだその場に残っている可能性もあります。

また、dに関しての知識はすごい役立ちますよ。だれかーではなくてそこの青いシャツのお兄さん!みたいなこというと立ち止まってくれます(体験談)

作問者コメント

きよすけ
きよすけ

皆さんの国試だけでなく、日常でも役立つような問題を一つと思い作りました。

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B16 総論的事項 必修一般

問題

疾患とリスクファクターの組み合わせで誤っているのはどれか。

  1. 2型糖尿病-家族歴
  2. 子宮頸癌-身体活動
  3. ポリープ様声帯-喫煙
  4. 白血病-Down症候群児
  5. 虚血性心疾患-高脂血症

解説

【テーマ】癌とリスクファクター

【正答】b

  1. 正しい。他に脂肪の過剰摂取、肥満など。
  2. 誤り。運動不足は大腸癌のリスクとして知られるが、子宮頸癌とは関係がない。
  3. 正しい。特に女性では喫煙による慢性刺激がポリープ様声帯の原因となる。
  4. 正しい。Down症は白血病発症リスクが非Down症に比較して10~20倍とされる。(参考:http://www.kyoto-u.ac.jp/static/ja/news_data/h/h1/news6/2013/130923_1.htm
  5. 正しい。他に喫煙、高血圧、HDLコレステロール低値など。適度の飲酒はむしろ疾患リスクを下げる。

【参考】112B7、110H14、107F14

作問者コメント

trino246
trino246

リスクファクターの組み合わせについてはたびたび医師国家試験で問われています。各内容について確認しておくことをおすすめします。

選択肢cは出題した問題でなぜか誤答が多かったところですので、今回正答として設定させていただきました。

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編集者コメント

ちちもげ
ちちもげ

身体活動を深読みするのはやめましょうね(笑)

B17 肝胆膵 必修一般

問題

閉塞性黄疸の所見として考えにくいのはどれか。

  1. 灰白色便
  2. 尿中ウロビリノゲン陽性
  3. 直接ビリルビン優位の黄疸
  4. 血清総コレステロール上昇
  5. 血中アルカリホスファターゼ上昇

解説

【テーマ】黄疸

【正答】b

  1. 正しい。腸管に黄色の色素を持つ直接ビリルビンが輸送できないため、便に色がつかず灰白色便となる。
  2. 誤り。直接ビリルビンは腸内細菌によってウロビリノゲンに変化するが、閉塞により胆道から腸管にビリルビンが輸送できないため、その変換ができず、尿中ウロビリノゲンは陰性となる。ただし、尿中ビリルビンは陽性となる。
  3. 正しい。肝臓でグルクロン酸抱合された後のトラブルであるため、直接ビリルビン優位の黄疸になる。
  4. 正しい。胆汁中のコレステロールが体外に排出されなくなるため、血液中の総コレステロールは上昇する。
  5. 正しい。胆道閉塞、閉塞性黄疸、胆道結石、胆道がんなど胆道系のトラブルがあった際上昇する。

【参考】113B30、111H16

作問者コメント

trino246
trino246

必修でたびたび黄疸については問われています。特に113回では必修臨床にて閉塞性黄疸が問われ、111回では関接ビリルビン優位の黄疸について問われています。そこで今回は閉塞性黄疸の所見について確認してほしく、こちら作題させていただきました。

【作問者をフォロー】trino246(Twitter)

B18 必修的事項 必修一般

問題

医療面接における質問法で正しい組み合わせはどれか。

  1. 開放型質問-「食欲はありますか」
  2. 多項目質問-「お薬は飲んでいますか」
  3. 重点的質問-「今日はどうなさいましたか」
  4. 中立的質問-「それからどうなさいましたか」
  5. 閉鎖型質問-「その痛みについてもっと詳しく教えてください」

解説

【テーマ】医療面接

【正答】d

  1. 開放型質問:自由に話すことを促す質問
  2. 多項目質問:選択肢を示して選んでもらう質問
  3. 重点的質問:症状や時間経過など、特定の話題に焦点を合てる質問
  4. 中立的質問:回答者の背景を伺ったり、話を促すときに用いる質問
  5. 閉鎖型質問:「はい」「いいえ」で答えられる質問

【参考】113B6

作問者コメント

みっきそ
みっきそ

質問法そのものは、医療に関係なく一般的に用いられている質問のやり方です。その一般的な質問方法を医療面接の場に特別に落とし込んだ方法をシステムレビューと呼んで、通常の会話では話題に上がらなかった症状を発見するために用いられています。今回の設問にある中立的質問の中には「職業は何ですか」のような患者背景を尋ねる質問だけでなく、回答者の話を促すような「それからどうなさいましたか」や「どうぞ話を続けてください」のような文言も含まれるのです。

【作問者をフォロー】みっきそ(Twitter)

B19 小児科 必修一般

問題

乳幼児の点滴ルートキープの部位として適切な部位はどこか。

  1. 頸部
  2. 手背
  3. 前腕
  4. 上腕
  5. 大腿

解説

【テーマ】ルートキープ

【正答】b

乳幼児は血管が細く、大人と同じ部位でのルートは難しい。痛いが医療者側の都合で手背でルートをとる。

作問者コメント

ハッシー
ハッシー

どのルートで取るか問題は近年多い。乳幼児のルートは実習で見たことがある学生には易しかったかもしれないが、知らなかった学生はここで学んで欲しい。1歳も後半くらいになってくると、手背以外でもルート確保できるようになってくる。最初は難しいけど頑張って手技を獲得しよう。

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B20 免疫 必修一般

問題

全身性エリテマトーデスでみられないのはどれか。

  1. 蝶形紅斑
  2. 肺高血圧症
  3. 汎血球減少
  4. γグロブリン低下
  5. 口腔内無痛性潰瘍

解説

【テーマ】全身性エリテマトーデス〈SLE〉

【正答】d

cは正しくはγグロブリン上昇。非特異的な炎症反応はみられるため、γグロブリン上昇、赤沈上昇、CRP上昇となる。ただし激しい炎症であるため補体価は低下することを確認。

ちなみに小児SLEでは白血球数、補体価、赤沈、などが活動性の指標となる。

【参考】113B20、112E13、111C11

作問者コメント

trino246
trino246

過去3年の必修の免疫の問題を確認したところ、必修の一般問題は3年連続で関節リウマチの問題でした。関節リウマチの次の免疫のメジャーどころといえばSLEのイメージでしたのでこちらの問題を出題しました。

【作問者をフォロー】trino246(Twitter)

B21 呼吸器 必修一般

問題

異常呼吸と疾患の組合せで誤っているのはどれか。

  1. Cheyne-Stokes呼吸糖尿病性ケトアシドーシス
  2. Biot呼吸-髄膜炎の末期
  3. Kussmaul呼吸尿毒症
  4. 口すぼめ呼吸COPD
  5. 起坐呼吸左心不全

解説

【テーマ】異常呼吸

【正答】a

  1. 誤り。Cheyne-Stokes呼吸は小さな呼吸から深く大きな呼吸となり無呼吸となる呼吸を繰り返すもので、脳血管障害、うっ血性心不全、高齢者の睡眠時などにみられる。糖尿病性ケトアシドーシスでは、Kussmaul呼吸がみられる。
  2. Biot呼吸は無呼吸と頻呼吸が不規則に繰り返される失調性呼吸。原因疾患としては延髄の障害、髄膜炎の末期が挙げられる。
  3. Kussmaul呼吸は速く深い呼吸が規則正しく行われるもので、糖尿病や尿毒症などの代謝性アシドーシスでみられる。
  4. COPDでは,支持組織の壊れた末梢気道が虚脱するのを防ぐために呼気時の陽圧を作り出す、口すぼめ呼吸がみられる。
  5. 肺水腫や左心不全では臥位では静脈還流量が増加するため呼吸が苦しくなる。ゆえに起坐呼吸となる。

【参考】112E9

作問者コメント

trino246
trino246

Biot呼吸が正答になるような問題は作成されていないと思いますが、念の為確認しておいてもいいかと思います。

【作問者をフォロー】trino246(Twitter)

B22 整形外科 必修一般

問題

足関節靭帯損傷・捻挫の治療で行われるRICEないのはどれか。

  1. 圧迫
  2. 安静
  3. 挙上
  4. 牽引
  5. 冷却

解説

【テーマ】ライス処置

【正答】d

スポーツ外傷における初期対応の頭文字である。

  • Rest〈安静〉
  • Ice〈冷却〉
  • Compressionn〈圧迫〉
  • Elevationn〈挙上〉

作問者コメント

エンタメくん
エンタメくん

スポーツをやっている人には特に馴染みがあるものだと思う。病院に行くまでの間に損傷部位の障害を最小限に抑えるために行う処置であり、早期復帰に欠かせない。スポーツ外傷が起きた時に早急に怪我の処置をやってあげられるとモテるぞ。

【作問者をフォロー】医学エンタメくん(Twitter)

B23 公衆衛生 必修一般

問題

WHOの「認知症が与える経済的、社会的影響を考慮して作成したガイドライン」に記載され、推奨されている予防方法として不適切なのはどれか。

  1. 禁煙
  2. 体重管理
  3. 定期的な運動
  4. 生活習慣病の改善
  5. ビタミンEの摂取

解説

【テーマ】認知症

【正答】e

出題は2019年に公開されたWHOの認知症ガイドラインから、Strength of the recommendationがstrongのものから出題した。特に、Vitamins B and E, polyunsaturated fatty acids and multi-complex supplementation should not be recommended to reduce the risk of cognitive decline and/or dementia.という記載があり、ビタミンB、E、不飽和脂肪酸や種々のサプリはあまり推奨されないということだけでも押さえておくとよいと思います。

生活習慣病については、健康に良いという記載で強いエビデンスは得られなかったのですが、強く推奨されていたので採用しました。

【参考】Risk reduction of cognitive decline and dementia

作問者コメント

朱雀
朱雀

最近WHOなどでは急激な認知症患者の増加による経済損失や社会的影響の話題がここ2,3年を通してHot Topicsなので認知症についての話題(特に公衆衛生介護などの領域)はしっかり押さえておいた方がいいと思い出題しました。

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B24 内分泌代謝 必修一般

問題

以下の「ホルモンX-ホルモンY」の組み合わせのうち、ホルモンXがホルモンYの分泌を促進するのはどれか。

  1. GnRHーGH
  2. TRHーPRL
  3. TRHーFSH
  4. ドパミンーPRL
  5. ドパミンーTRH

解説

【テーマ】下垂体ホルモン

【正答】b

  1. GnRH(別名LHRH)とGHは関連性がない。GHRHがGHの分泌を促進する。GnRHはLH・FSHの分泌を促進する。
  2. 正解。TRHはPRLの分泌を促進する。甲状腺機能低下症で高プロラクチン血症になるのはこのため。
  3. TRHとFSHは関連性がない。
  4. ドパミンはPRLの分泌を阻害する。ドパミンが別名PIHとも呼ばれるのはこのため。
  5. ドパミンはTRHの分泌を阻害する

まとめると以下の図のようになる。

作問者コメント

ちちもげ
ちちもげ

ゴチャゴチャしやすいところだと思います。これを機に整理しておきましょう。

【作問者をフォロー】ちちもげ(Twitter)

B25 必修的事項 必修臨床

問題

45歳の男性。会社経営者、中国人。仕事と健康診断のために来日している。γ-GTPが155IU/L(基準8~50)と異常を指摘されたため来院した。その他の肝機能検査に異常を認めなかった。腹部超音波検査で高輝度の肝臓を認めた。その他肝疾患はない。身長165cm、体重88kg。ウイスキーをシングル(30ml)で20年間毎日飲んでいる。朝は早くないが、仕事での会食が多く帰宅は深夜になることが多い。ここ1年で体重が15kg増えている。

この患者にまず行う指導内容として適切なのはどれか。

  1. 禁酒
  2. 教育入院
  3. 仕事制限
  4. 食生活改善
  5. 筋力トレーニング

解説

【テーマ】生活指導

【正答】d

脂肪性肝炎〈NASH〉疑いの患者。体重増加、BMI高値(32.3)、高輝度の肝臓から脂肪肝の存在が予想され、脂肪性肝障害によるγ–GTP上昇が疑われる。1年前であっても体重は73kgでBMI26と高値である。原因は乱れた食生活だと推察される。

アルコール量はウイスキーシングル(30ml)と多くはないため、今回はアルコール性肝疾患は否定する。

まずは食事内容を考え直してもらい、減量を目指したい。会社経営者、中国人ということを考慮し、仕事に支障が出ない範囲で減量目標を患者と医療者の二人三脚で立てることが大事になる。

教育入院は糖尿病に関する講義、栄養士による食事指導、理学療法士による運動指導など、糖尿病患者の日常生活に必要な知識や技術を専門のスタッフから学ぶことであるので今回はあてはまらない。

筋力トレーニングをはじめとする運動療法はBMIが非常に高値であるため、怪我ややる気の持続のリスクを考えて次点であろう。

ちなみに、食事制限は内臓脂肪を、運動は皮下脂肪を落とすのに有効だという報告があるが、国家試験では問われないと思われるので興味のある方は各自調べてほしい。

作問者コメント

エンタメくん
エンタメくん

中国人の観光ついでの健康診断は流行っている。中国の発展に合わせて日本がたどって来た体型の変化が中国人にも現れている。診療にあたっては中国人の国民性(命よりメンツの方が大切、一族主義など)に関しても理解しておく必要があるだろう。中国の血も流れる筆者より。

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B26 救急 必修臨床

問題

20歳の男性。発熱と右下肢の発赤、疼痛および腫脹とを主訴に来院した。

現病歴:4日前、屋外でバスケットボールの練習中に転倒し右下腿を打撲した。次第に打撲した部位の発赤、疼痛および腫脹が出現して急速に拡がり、発熱も出現したため救急外来を受診した。

現 症:意識レベルはJCS I-2-R。身長175cm、体重63kg。体温40.6℃。脈拍120/分、整。血圧82/40mmHg。呼吸数22/分。SpO2 96%(room air)。全身に発汗を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。右鼠径部に径2cmで可動性良好なリンパ節を3個触知し、圧痛を認める。右下腿は打撲部位を中心に膝から足首に及ぶ著明な発赤、腫脹および圧痛を認め、皮膚表面には大小の血性水疱を認める。右膝関節および足関節は腫脹と疼痛のため十分な診察ができない。足背動脈は両側とも触知可能である。

検査所見:血液所見:赤血球468万、Hb 13.9g/dL、Ht 42%、白血球15,300(桿状核好中球30%、分葉核好中球55%、好酸球1%、好塩基球0%、単球7%、リンパ球7%)、血小板9万、PT-INR 1.6(基準0.9〜1.1)、Dダイマー3.4μg/mL(基準1.0以下)。血液生化学所見:総蛋白6.0g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、AST 114U/L、ALT 30U/L、LD 602U/L(基準176〜353)、CK 12,200U/L(基準30〜140)、尿素窒素30mg/dL、クレアチニン1.9mg/dL、血糖98mg/dL、Na 134mEq/L、K 5.0mEq/L、Cl 97mEq/L。CRP 22mg/dL。動脈血ガス分析(room air):pH 7.30、PaCO2 32Torr、PaO2 70Torr、HCO3 14mEq/L。骨盤部・下肢CTで右膝関節周囲から足部にかけての皮下組織と筋肉の強い浮腫像と、下腿の筋肉表面に沿った広範な液体成分の貯留像とを認める。

急速大量輸液を開始し、血圧92/50mmHgとなった。

輸液に対する反応から敗血症性ショックと判断するために必要な血圧を求めよ。

ただし、小数第1位以下の数値が得られた場合は、小数第1位を四捨五入すること。

解説

【テーマ】平均血圧

【正答】64(mmHg)

敗血症性ショックの診断には、「十分な輸液負荷を行っても平均血圧≧65mmHgの維持に血管作動薬が必要、かつ血清乳酸値≧2mmol/L〈18mg/dL〉」が必要である。したがって平均血圧を求める。

平均血圧は、拡張期血圧+脈圧/3、すなわち拡張期血圧+(収縮期血圧-拡張期血圧)/3で求められる。したがって、本文より50+(92-50)/3=64(mmHg)となる。

【参考】111E60

作問者コメント

敗血症性ショックの判断を求められる問題で敗血症性ショックか否かどうか平均血圧を求めないとわからない問題はでてもおかしくない気がするので作問。

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B27 総論的事項 必修臨床

問題

15歳の女子。3か月以上続く腹痛を主訴に来院。症状は右季肋部痛で昨日から学校を欠席しているという。10日前にも同様の主訴で他院を受診し、胸腹部単純CTを行なったが異常は指摘されなかったという。紹介状を持たずに来院した。

現時点の情報量のなかで次に行う対応として最も適切なのはどれか。

  1. 腹部診察
  2. 腹部造影CT
  3. 生活歴の確認
  4. 現病歴の確認
  5. 産婦人科に紹介

解説

【テーマ】問診

【正答】d

紹介状を持っているわけでもないため、現時点での情報量は少なすぎる。まずは現病歴の確認が先決であり、次いで生活歴の確認を行う。系統だった問診を行う必要がある。

作問者コメント

エンタメくん
エンタメくん

問題文を読んだら何だかよくわからないと思いましたよね。実はその感覚が大事で、こういう場合はとりあえず初めからもう一度聞きなおしましょう。

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B28 必修的事項 必修臨床

問題

40歳男性。進行胃癌の診断を受け、昨日から手術目的に入院している。研修医が術前の心電図検査を行ったところ、昨年の人間ドックで行った心電図結果と大きく異なっていたため、上級医に相談した。上級医は心電図を見比べて、「四肢誘導で左右の手を付け間違えてないか。」と言った。

上級医の発言の根拠として考えられないのはどれか。

  1. aVRとaVLが入れ替わっていた
  2. Ⅱ誘導とⅢ誘導が入れ替わっていた
  3. I誘導が基線を中心に逆転していた
  4. aVFが基線を中心に逆転していた
  5. V1~V6の波形は変化していなかった

解説

【テーマ】心電図つけ間違い

【正答】d

aVFは左右の四肢誘導電極を入れ替えても変化しません。胸部誘導(V1~6)も不変です。

作問者コメント

きよすけ
きよすけ

こういう問題苦手な人1、2割くらいいるでしょ!と思って作りました。正答率75-85%とみた!本番も割とこういう問題でそうじゃないですか?

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B29 皮膚 必修臨床

問題

80歳男性。3か月前に脳梗塞で倒れてから、寝たきり状態となった。訪問介護士が体位変換の際に患者の仙骨部に病変が生じているのを発見した。

この病変が治癒に至るまでに辿ると考えられる色調の順番はどれか。

  1. 赤色→黄色→黒色→白色
  2. 赤色→黒色→黄色→白色
  3. 黄色→赤色→黒色→白色
  4. 黒色→赤色→黄色→白色
  5. 黒色→黄色→赤色→白色

解説

【テーマ】褥瘡

【正答】e

寝たきり状態と仙骨部というキーワードから、褥瘡を連想されたい。

褥瘡が治癒するまでに辿る色調の段階は、以下の通り。

  1. 黒色
  2. 黄色
  3. 赤色
  4. 白色

また、褥瘡自体の評価としてDESIGN-R、褥瘡リスクの評価としてBraden Scaleというものがある。

作問者コメント

ちちもげ
ちちもげ

「クッキーを圧迫(黒→黄→赤→白)」のゴロで覚えてます。

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B30 循環器 必修臨床

問題

77歳の男性。突然の腹痛を主訴に救急車で搬入された。当院にて高血圧治療中で腹部に拍動性腫瘤を指摘されていた。意識は清明。顔貌は苦悶様で冷汗が著明にみられる。脈拍118/分、整。血圧70/38mmHg。眼瞼結膜は貧血様である。

確定診断に必要な検査はどれか。

  1. 心電図
  2. 呼吸機能検査
  3. 腹部造影CT
  4. 消化管内視鏡検査
  5. 腹部エックス線撮影

解説

【テーマ】急性腹症・腹部大動脈瘤破裂疑い

【正答】c

この患者は腹部に拍動性腫瘤が指摘されており、腹部大動脈瘤があったと考えられる。腹痛の原因として動脈瘤破裂を鑑別するために、まずは腹部超音波検査を行い、確定診断には腹部造影CT検査を行う。

作問者コメント

エンタメくん
エンタメくん

問題文にすると平易に感じる。そのため国家試験本番だとしたら落としてはならない3点問題であることを強く意識して解答して欲しい。今回の問題では同じ病院の患者であったため迅速な対応ができ治療を行えるが、他院で治療中の患者が動脈瘤破裂で搬送となると、検査から治療までワンテンポ遅れる可能性がある。臨床の現場でも中高年の急性腹症の鑑別に腹部大動脈瘤破裂を意識しておいてほしい。

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B31 血液 必修臨床

問題

23歳女性。医学生。実習中に行った血液型オモテ検査の結果(図1、図2)を示す。なお、検査に用いた抗A試薬は青色、抗B試薬は黄色である。

この女性のABO式血液型はどれか。

  1. A型
  2. B型
  3. O型
  4. AB型
  5. この検査だけでは分からない

解説

【テーマ】血液型

【正答】a

血液型検査にはオモテ検査とウラ検査がある。被検者の血球を抗体試薬と反応させるのがオモテ検査、被検者の血漿(抗体)を血球試薬と反応させるのがウラ検査である。

具体的なオモテ検査の手順を説明する。採血した被検者の血液を遠心分離し、血球成分のみを取り出す。血球成分と試薬をそれぞれ1滴ずつ混和し、遠心分離する。この時反応があれば沈殿(凝集した血球)がみられる。

図1では青色試薬(抗A試薬)内に沈殿がみられるため、被検者の血球はA抗原を持つと考えられる。また図2では黄色試薬(抗B試薬)内に沈殿はみられないため、被検者の血球はB抗原を持たないと考えられる。したがって、被検者の血液型はA型である。

問者コメント

ホリカ
ホリカ

ホリカはAB型なんだ。医学生は一般的な大学生に比べて、AB型が多いって噂だよ(ホリカ調べ)。

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B32 精神 必修臨床

問題

精神科をローテートしている研修医AとAの指導医Bとの会話の一部を示す

A「僕の彼女についての相談に乗ってほしいのですが…」
B「おお、どうした。」
A「彼女が少し前に『A君のこと本当に大好きでたまらないの!ずっと抱きしめられていたい!』と言っていて、『可愛いな』と思ってたんですよ」
B「…」
A「でも同じ日の午後には別の友人に『Aが憎くて憎くてしょうがないの。いっそ殺してやりたい!』と言っていたそうなんです」
B「それはすごいな」
A「これは一体どういうことなんでしょうか…」

Aの彼女に当てはまるのと考えられるのはどれか。

  1. flight of ideas
  2. ambivalence
  3. conversion
  4. obsession
  5. delirium

解説

【テーマ】両価性

【正答】b

  1. 観念奔逸
  2. 両価性
  3. 転換
  4. 強迫観念
  5. せん妄

会話から研修医Aの彼女は彼に対し、好きという感情と憎しみという1つの対象に対して2つの対立した感情を同時に存在させている。これは感情の障害である両価性に当てはまると考えられる。両価性は感情の障害に含まれることは忘れないように。

【参考】112F15、112F37

作問者コメント

trino246
trino246

作るのが楽しいだろうなと思って作成。両価性は112回に出題がある上に、精神科の英語の問題としても作れるし、なんかいろいろ一石二鳥感があったため。

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B33 公衆衛生 必修臨床

問題

23歳女性。2017年に大学の心理学科を卒業し、心理カウンセラーとして働くため、2018年にある国家資格を取得した。

女性が取得したと考えられる資格はどれか。

  1. 臨床心理士
  2. 認定心理士
  3. 公認心理
  4. 認定カウンセラー
  5. メンタルケア心理士

解説

【テーマ】公認心理師

【正答】c

どの職種もいわゆる「カウンセラー」であるが、公認心理師は国家資格、その他は民間資格である。

カウンセリングを主な仕事とする国家資格には、他に精神保健福祉士がある。

作問者コメント

ちちもげ
ちちもげ

公認心理師は2018年度から登場した新たな国家資格です。根拠は『公認心理師法』です。「公」に「認」められているので国家資格と覚えましょう。

【作問者をフォロー】ちちもげ(Twitter)

B34 必修的事項 必修臨床

不適切問題のため削除しました

B35 産婦人科 必修臨床

問題

76歳の女性。外陰部掻痒、淡血性の帯下を主訴に来院した。6年程前から外陰部の掻痒と帯下の増量を自覚するようになった。51歳時に閉経。既往歴無し。鼠径リンパ節の腫大を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。外陰部は発赤し、帯下は淡血性。内診時、膣壁の萎縮を認める。

この疾患について正しいのはどれか。

  1. メトロニダゾールを治療に用いる。
  2. 卵胞ホルモンを治療に用いる。
  3. 黄体ホルモンを治療に用いる。
  4. ステロイドを治療に用いる。
  5. 帯下増加は認めない。

解説

【テーマ】老人性膣炎〈萎縮性膣炎〉

【正答】b

老人性膣炎〈萎縮性膣炎〉は更年期障害や治療による卵巣摘出などが原因で起こるエストロゲン不足が引き起こす膣炎です。

ポイントは、(必ずしも)感染性ではないこと、原因がエストロゲン不足であることです。

エストロゲンがばっちり出ている人では、膣がすべすべもちもちになり、菌にも強くなります。すべすべもちもちが失われると・・・膣は摩擦で傷みやすくなるため擦れたりするだけで出血を起こしたりします。

菌にも強くなる機序は「エストロゲンを受けて膣でのグリコーゲン分泌が豊富になる→グリコーゲンを栄養にラクトバチルス(デーデルライン桿菌)が膣内で幅を利かせて菌から身を守る」といったものです。これが失われると感染も起こしやすくなります。

症状は、性器痛(性交時痛)、出血、掻痒感などがあがります。

治療は、エストロゲン補充です。膣剤としてエストロゲンを膣に局所投与することが多いです。この場合、E依存性の癌(子宮体癌や乳癌)のリスクにはならないことが知られているのでプロゲステロンは用いなくてもよい、また定期的な乳癌の検索も必要ないとされています。

もし感染を併発している場合、原因菌に応じた治療を行うこともあります。(ただエストロゲン投与で割と膣の自浄作用が高まるので治ることが多いです)

  1. 誤り。原虫感染を起こしていたら使いますが、いつだって使うとは限らないですよね。
  2. 正しい。卵胞ホルモンはエストロゲンの事です。(プロゲステロンは黄体ホルモンです)この混乱のさせ方は国試で一度出題されています。(91B62)
  3. 誤り。治療に用いるのはエストロゲン(=卵胞ホルモン)ですね。プロゲステロンではありません。老人性膣炎とともに更年期障害を認める場合は用いることもあります。
  4. 誤り。ステロイドは関係ないです!困ったらステロイド…気持ちはわかりますが皮膚科だけにしておきましょう!(冗談です)
  5. 誤り。炎症を起こしやすいので帯下増加を認めることもあります。感染を併発することもあると考えると消せる選択肢ですね。

作問者コメント

きよすけ
きよすけ

感染ありきな病気と考えている人が多い気がしますが、そうじゃないんです! 主病態はエストロゲン不足、そしてそれが引き起こすデーデルライン桿菌不足! かといって感染が起こらないわけがないのがこの病気の難しいところです その他のクラミジアや淋菌感染とあわせて、しっかり鑑別ポイントをおさえておきたいですね…… 僕 直前にここの勉強しようって思ってます!!

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B36 整形外科 必修臨床

問題

35歳の男性。右手関節の変形と疼痛にて受傷後9時間で外来受診となった。河原で遊んでいたところ転倒し受傷した。受傷時の肢位は不明であった。既往歴、家族歴、内服歴に特記すべきことはない。受診時意識清明、体温37.0℃、心拍数80/分、整。血圧135/92mmHg、呼吸数15/分。右手関節の著名な変形と同部位に1cm程度の挫創を認める。創部の汚染は中等度で、創部からは拍動性の出血を少量認める。手指の自動運動も可能。感覚の異常も認めない。受診後撮像したX線にて橈骨遠位端骨折を認めた。

初期対応として適切でないのはどれか。

  1. 整復
  2. 抗菌薬投与
  3. デブリードマン
  4. 水道水での創部洗浄
  5. 挫創に対する一次的閉創

解説

【テーマ】開放骨折

【正答】e

汚染創はgolden time内に洗浄デブリードマンを施行し、創状態が良ければ閉創とします。今回のように時間のたったものは開放創として治療するのが適切です。

動脈性の出血とありますが、橈尺骨動脈は損傷しておらず、この場合は圧迫による止血を行います。

作問者コメント

おると
おると

基本的に開放骨折の対処を知っていれば消去法で解ける問題です。

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B37 救急 必修臨床

禁忌あり

問題

21歳男性。1月、外気温-2℃。昨晩友人宅で飲酒し、コンビニに行ったきり帰ってこないため友人が探し、屋外で発見、救急通報された。来院時JCS Ⅲ−300、体温(直腸温)25.4℃、血圧は橈骨動脈で触知しないが、頸動脈では触知する。脈拍は48/分、呼吸数8回/分。全身にチアノーゼが著明。初療室で行った心電図を示す。

まず行うべき処置はどれか。

  1. 脳死判定
  2. 死亡診断書作成
  3. 心肺蘇生術
  4. 昇圧薬投与
  5. 加温療法

解説

【テーマ】低体温

【正答】e

心電図所見は心房細動である。低体温、意識障害、血圧低下、心房細動がある。

直腸温が25.4℃となっているがまずは加温し直腸温を32℃以上にしたい。加温と同時に気管挿管、人工呼吸、静脈路確保を行う。体温上昇(直腸温32℃以上)を確認後に再びバイタルチェックを行う。

aとbは禁忌。まだ死んでいない。直腸温32℃以下(6歳未満では35℃未満)の場合は脳死判定基準から除外されることも覚えておきたい。

作問者コメント

みっきそ
みっきそ

過去、国家試験で低体温の治療はまだ出ていません、たぶん。低体温に伴い不整脈も重症化して、この患者を放置すると心室細動へ移行する可能性があります。およそ33℃台で意識消失、不整脈出現があることも覚えておきましょう。

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B38 救急 必修臨床

問題

救急救命士が特定行為として投与可能な輸液製剤はどれか。

Na(mEq/L)K(mEq/L)Cl(mEq/L)乳酸(mEq/L)ブドウ糖(%)
輸液製剤A154015400
輸液製剤B1304109280
輸液製剤C90070202.6
輸液製剤D451737205
輸液製剤E00005
  1. 輸液製剤A
  2. 輸液製剤B
  3. 輸液製剤C
  4. 輸液製剤D
  5. 輸液製剤E

解説

【テーマ】救急救命士の特定行為

【正答】b

救急救命士が医師の指示を受けて初めて行える行為を、特定行為という。乳酸リンゲル液は特定行為として投与可能だが、そのほかの輸液製剤は救急救命士は使用できない。

  1. 生理食塩水
  2. 乳酸リンゲル液
  3. 1号液(開始液)
  4. 3号液(維持液)
  5. 5%ブドウ糖液

作問者コメント

ちちもげ
ちちもげ

救急車には一応生理食塩水も積んでいるそうですが、怪我などの洗浄用だそうです。

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作問者コメント

れお
れお

救急救命士の処置範囲は除細動、気管挿管、アドレナリン(エピネフリン)投与、心肺機能停止前の重度傷病者に対する静脈路確保及び輸液、血糖測定並びにブドウ糖溶液の投与が認められ、いずれも救命あるいは後遺症防止のための緊急処置が必要な状態である。

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B39 神経 必修臨床

禁忌あり

問題

77歳の男性。階段から転落し、アスファルトに後頭部を強打したため救急車で搬送された。意識は清明、視診で後頭部に裂傷がある以外に異常を認めなかった。頭部X線単純写真と頸部X線単純写真とにも異常所見を認めなかった。しかし、診察終了後の帰宅途中に意識が混濁したため、再び救急車で来院した。その時の診察所見は左瞳孔が散大し、左側の対光反射の消失と右半身の麻痺とが出現していた。現在は後頭部の受傷から1時間後であると推定される。

まず行う検査はどれか。

  1. 脳波
  2. 腰椎穿刺
  3. 頭部単純CT
  4. 脳血管造影
  5. 頭部単純MRI

解説

【テーマ】急性硬膜外血腫疑い

【正答】c

受傷直後意識清明期(lucid interval)があるも、1時間後(推定)に急変(意識混濁・左瞳孔散大・右片麻痺)。急性硬膜外血腫を疑う。

  1. 異常部位の局在診断を行う検査。
  2. 脳ヘルニアが鑑別にあがるため行ってはならない。禁忌。
  3. 頭部の出血病変をみるにはCTが最も有用であり、時間もかからない。
  4. 脳動静脈奇形など頭蓋内器質的疾患を確認するもの。
  5. 頭蓋内血腫病変だけでなく、びまん性病変(脳挫傷・びまん性軸索損傷など)を評価するに適している。時間がかかる上に救急搬送された患者は金属片が体内にあるかどうかも分からない状態である。緊急で行うことは考えにくい。

【参考】99C18

作問者コメント

エンタメくん
エンタメくん

落としてほしくない。恐らく正答率は95%を超えてくる。

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B40 循環器 必修長文

問題

A 74-year-old man comes to the emergency department complaining of chest pain. The pain began about 2weeks ago. Last night, the pain continued for 45 minutes after meal. He receives oral medications for hypertension and diabetes. He smokes 20 cigarettes a day. His body temperature is 37.3℃, blood pressure is 144/83mmHg, and pulse rate is 70/min, regular. His chest auscultation is normal.

Which one of the following should be done next?

  1. Blood gas analysis
  2. Coronary angiography
  3. Treadmill exercise test
  4. 12-lead electrocardiography
  5. Contrast-enhanced chest CT

解説

【テーマ】 急性心筋梗塞〈AMI〉

【正答】d

急性心筋梗塞の初期診断の問題である。

AMIでの心電図変化には、ST上昇(STEMI、貫壁梗塞)、ST低下(NSTEMI、心内膜下梗塞)、超急性(ピーク)T波、T波反転、新しい左脚ブロック、病的Q波または貧弱なR波の進行(進化中または古い貫壁梗塞)などがある。

以下、簡単な和訳を載せておく。

74歳男性。胸痛を主訴に救急外来に来院した。胸痛は約2週間前から始まり、昨夜は食後45分間持続した。高血圧と糖尿病で内服治療中。喫煙歴20本/日。体温37.3℃、血圧144/83 mmHg、脈拍70 /分、整。胸部聴診所見に異常を認めない。

次に行うべきことは次のうちどれか。

  1. 血液ガス分析
  2. 冠動脈造影
  3. トレッドミル運動試験
  4. 12誘導心電図
  5. 造影胸部CT

B41 循環器 必修長文

問題

【B40続き】

Serum troponin levels and creatine kinase-myocardial bound are shown to be elevated. ECG reveals ST-segment elevation in leads Ⅱ, Ⅲ, and aVF, as well as sinus bradycardia.

Which of the following is the most likely cause of this patient’s abnormal ECG findings?

  1. Anterior wall myocardial infarction
  2. Dressler’s syndrome
  3. Lateral wall myocardial infarction
  4. Occlusion of the right coronary artery
  5. Ventricular free wall rupture

解説

【テーマ】急性心筋梗塞〈AMI〉

【正答】d

心筋トロポニン、クレアチンキナーゼが上昇しており、神心電図でⅡ、Ⅲ、およびaVF、ならびに洞徐脈のST上昇がみられたことより、AMIが考えやすい。

解説(英語)

The ST elevation in the inferior leads(Ⅱ, Ⅲ, and aVF)suggests inferior wall infarction secondary to occlusion of the right coronary artery. In addition to inferior wall infarction, sinus bradycardia may also be observed as a result of sinoatrial node involvement. In most patients, the associated sinus bradycardia is not severe enough to require treatment. However, when it is severe enough to cause hypotension, as in this patient, it may be treated with atropine.

  1. Anterior wall infarction would lead to ECG changes in the precordial leads, usually V2-V4, and is not associated with sinus bradycardia
  2. Dressler’s syndrome is a complication of MI that arises week later. It is characterized by pleuritis, and fever and is believed to represent an immunologic process.
  3. Lateral wall infarction is classically associated with ECG changes in leads Ⅰ, aVL, V5, and V6. It is not associated with sinus bradycardia.
  4. Correct answer.
  5. Ventricular free wall rupture is a fatal complication of MI that leads to cardiac tamponade and circulatory collapse.

補足:解説の和訳

心電図でのST上昇(Ⅱ、Ⅲ、およびaVF)は、右冠動脈の閉塞による下壁梗塞を示唆しています。下壁梗塞に加えて、洞房結節の障害によって洞徐脈がみられる場合があります。ほとんどの患者では、関連する洞徐脈は治療を必要とするほど深刻ではありません。しかし、この患者のように低血圧を引き起こすほど重度である場合はアトロピンで治療することができます。

  1. 前壁梗塞は前胸部誘導、通常V2〜V4のECG変化を引き起こし、洞徐脈とは関係ありません。
  2. ドレスラー症候群は、1週間後に発生するMIの合併症です。胸膜炎と発熱を特徴とし、免疫学的プロセスを表すと考えられています。
  3. 外側壁梗塞は、古典的に、Ⅰ、aVL、V5、およびV6誘導のECG変化と関連しています。副鼻腔徐脈とは関係ありません。
  4. 正解。
  5. 心室の自由壁破裂は、心筋タンポナーデと循環虚脱を引き起こすMIの致命的な合併症です。

【参考】113B34

作問者コメント

最近の医師国家試験では英語の問題の出題があり、USMLEを意識させられる。英語の問題は単語が分かればそれほど難しくないことが多いが、逆に言うと単語が分からなければ詰みである。113B34の「peritoneal irritation」は腹膜刺激徴候だが、これが分からなかったばっかりに正答に至らなかった受験生が多い。英語がどうしてもニガテであれば、諦めるというのも戦略であるかもしれない(少なくとも今現在の医師国家試験においては)。

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B42 加齢老年学 必修長文

問題

78歳の女性。かかりつけ医からの紹介で総合病院の初診外来を受診した。担当医は高齢者総合機能評価〈CGA〉を意識した面接を行った。自己紹介や患者確認など導入部分を終えた後の医師と患者の会話を以下に示す。

医 師「これから言う言葉を繰り返してください。後でまた聞きますから、覚えておいてください。桜、猫、電車。」
患 者「桜、猫、電車。」
医 師「今日はどうやって病院まで来られましたか。」
患 者「タクシーに乗って来ました。」
医 師「ご自宅ではどなたとお住まいですか。」
患 者「娘夫婦と3人暮らしをしています。」
医 師「お風呂はどうしていますか、おひとりで入っておられますか。」
患 者「湯船からひとりで上がるのは大変なので、時々娘に手伝ってもらっています。」
医 師「失礼ですがトイレはどうでしょうか、失敗してしまうことはありませんか。」
患 者「トイレはひとりで大丈夫です。失敗も特にありません。」
医 師「自分が無力だと感じることはありますか。」
患 者「ありません。」
医 師「では、先ほど覚えていただいた言葉をもう一度言ってみてください。」
患 者「バラと、犬と、何だったかしら。」

聴取したと判断できない項目はどれか。

  1. BADL
  2. IADL
  3. 認知機能
  4. 情緒
  5. 意欲

解説

【テーマ】高齢者総合機能評価〈CGA〉

【正答】e

CGA7に基づいた質問をしている。

  1. BADL:「お風呂はどうしていますか、おひとりで入っておられますか。」「トイレはひとりで大丈夫です。失敗も特にありません。」
  2. IADL:「今日はどうやって病院まで来られましたか。」
  3. 認知機能:「これから言う言葉を繰り返してください。後でまた聞きますから、覚えておいてください。桜、猫、電車。」「では、先ほど覚えていただいた言葉をもう一度言ってみてください。」
  4. 情緒:「自分が無力だと感じることはありますか。」
  5. 意欲:意欲は「自ら進んで医師に挨拶するかどうか」で判断する。この会話からは判断できない。

【参考】108E50

B43 加齢老年学 必修長文

問題

【B42続き】

聴取した項目のなかで、この患者に行うべきと考えられる評価方法はどれか。

  1. Barthel Index
  2. Vitality index
  3. 老年期うつ病評価尺度
  4. Frenchay Activities Index
  5. Mini Mental State Examination

解説

【テーマ】高齢者総合機能評価〈CGA〉

【正答】e

「桜、猫、電車。」から、「バラと、犬と、何だったかしら。」と遅延再生が出来ていないため、認知機能の評価をする必要があると考えられる。

  1. Barthel Index:BADLの評価
  2. Vitality index:意欲の評価
  3. 老年期うつ病評価尺度:情緒の評価
  4. Frenchay Activities Index:IADLの評価
  5. Mini Mental State Examination:認知機能の評価、改定長谷川式スケールでも同様の評価が可能

作問者コメント

ちちもげ
ちちもげ

CGA7は、セブンだけど聴取する項目はファイブです。(認知機能とBADLは2回ずつ聴取するため)HDS-Rでは、「桜、猫、電車」が使用できないときは「梅、犬、自転車」を使います。

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B44 公衆衛生 必修長文

問題

66歳の男性。夕方ごろ、テーマパーク内で意識を失って倒れたところを家族に抱えられて救護室に来た。

現病歴:家族とテーマパークに遊びに来ており、朝からずっと歩き回っていた。この日は普段より食事量が少なかったが、いつもと同じ量のインスリン注射を打ったという。トイレ内にはインスリン注射針回収箱がある。

既往歴:16歳で1型糖尿病と診断

家族歴:特記事項なし

生活歴:特記事項なし

現 症:糖摂取により意識清明。身長172cm、体重68kg。体温36.2℃。脈拍84/分、整。血圧162/102mmHg。心雑音はない。下腿は靴下の跡がはっきり残っている。

検査所見:尿所見:蛋白3+、糖1+、潜血(-)。血液所見:赤血球425万、Hb 13.2g/dL、Ht 40%。血清生化学所見:空腹時血糖112mg/dL、HbA1c 8.2%(基準4.3~5.8)、総蛋白4.5g/dL、アルブミン2.2g/dL、尿素窒素13mg/dL、クレアチニン0.9mg/dL、尿酸5.1mg/dL、総コレステロール315mg/dL、Na 140mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 101mEq/L、Ca 7.2mg/dL、P 4.0mg/dL。TSH 3.2μU/mL(基準0.2~4.0)、アルドステロン15ng/dL(基準5~10)、血漿レニン活性4.2ng/mL/時間(基準1.2~2.5)。胸部X線写真で心拡大を認めない。

トイレ内のインスリン注射針回収箱に記載されているマークはどれか。

解説

【テーマ】バイオハザードマーク

【正答】c

  1. ①黒色:バイオハザードマークだが、特にこれといった決まりはない。
  2. ②橙色:固形状のもの(血液が付着したガーゼ、点滴セットや注射筒などのプラスチック製品など)
  3. ③黄色:鋭利なもの(注射針やメスなど)
  4. ④赤色:液状または泥状のもの(血液・血清・血漿・体液・血液製剤・病理廃棄物など)
  5. ⑤緑色:バイオハザードマークだが、特にこれといった決まりはない。

▲千葉県にあるテーマパークのトイレ内のインスリン注射針回収箱

B45 内分泌代謝 必修長文

問題

【B44続き】

この患者の生活習慣を指導するにあたって誤っているのはどれか。

  1. 減塩食
  2. 水分制限
  3. 低蛋白食
  4. 毎朝の血圧測定
  5. ラムネ菓子の携行

解説

【テーマ】1型糖尿病、糖尿病性腎症

【正答】b

尿所見で蛋白尿を呈し、血液検査では低アルブミン血症、脂質異常症を認める。糖尿病性腎症による二次性のネフローゼ症候群をきたしていると考えられる。また、血清クレアチニン値は正常範囲であり、糖尿病性腎症Ⅲb期である。

  1. 減塩は浮腫の改善に有効である。
  2. 心不全がなく、現状で水分制限は不要。
  3. 低蛋白食(0.8~1.0g/kg)が糖尿病性腎症の治療の原則。ただし、体重はBMI22のときのものとして計算する。
  4. 早朝血圧は血圧管理の基本である。やった方が良いというより、この選択肢を否定する根拠がない。
  5. ラムネ菓子のようなブドウ糖は吸収が早く素早い血糖値の上昇が期待できるため、今回のように外出先で倒れるといったことを防げる可能性がある。

作問者コメント

みっきそ
みっきそ

バイオハザードマークの色違いは看護師国家試験では頻出です。医師国家試験でも出てもおかしくないかもしれません。

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B46 公衆衛生 必修長文

問題

52歳男性。あるマークが表示されている多目的トイレを探している。駅のトイレには表示がなかったが、デパートの地下のトイレにて表示を見つけ、無事に用を済ませた。表示されていたマークを示す。

この男性はどのような人と考えられるか。

  1. 透析管理中の人
  2. 臓器提供をした人
  3. 臓器移植を受けた人
  4. ストーマを作った人
  5. 体内に金属のある人

解説

【テーマ】 オストメイト

【正答】d

マークはオストメイトを表している。オストメイトとは、腹部にストーマ(人工肛門・人工膀胱)を持つ人のことをいう。

B47 公衆衛生 必修長文

問題

【B46続き】

マークの表示があったトイレには、便器や手洗い場のほかに流し台があり、この男性にとって理想的と考えられるものであった。

その流し台はどれか。

解説

【テーマ】オストメイト対応トイレ

【正答】e

オストメイトは随意排泄が出来ないため、ストーマにパウチ(専用の袋)をつけて排泄物をそこで受け止めながら生活している。

オストメイトがトイレを使用するタイミングは、パウチに溜まった排泄物を流しに行くときである。※パウチの下部には排出口があるため、毎回パウチごと捨てているわけではない。

オストメイト対応トイレには、専用の流し台があることが望ましい(通常の便器だと位置が低く流しにくいため)。他にも、腰位置が見やすいような鏡や、荷物棚などがあると理想的である。

また、パウチが剥がれるなどの緊急時には腹部の洗浄が必要になるため、流し台には、温水シャワーが付属していることが望ましい。濡れないように流し台に腹部を押し付けるため、流し台の形は中央がへこんでいるとなお良い。

  1. 鏡やシャワーがあって流し台の形は中央がへこんだ形の方が望ましい。
  2. 流し台の形は中央がへこんだ形の方が望ましい。
  3. 鏡やシャワーがある方が望ましい。
  4. シャワーがある方が望ましい。
  5. 理想的である。

【参考】100G119

作問者コメント

ちちもげ
ちちもげ

オストメイトの生活について知って欲しくて出題しました。最近のオストメイト用の流し台は、ボタンで高さが調節できるものがあるそうです。

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B48 呼吸器 必修長文

問題

30歳の女性。胸痛と呼吸困難を主訴に来院した。3か月前にも同様の症状があったが、ドレナージによって改善したという。今朝、朝食の準備中に突然の左胸痛が出現し、さらに増強して呼吸困難も出現した。身長157cm、体重45kg、脈拍96/分、整。血圧96/60mmHg

原因疾患を鑑別していく上で、最も確認すべきと考えられる問診項目の組み合わせはどれか。

  1. アレルギー歴・食事歴
  2. アレルギー歴・服薬歴
  3. 家族歴・産婦人科受診歴
  4. 食事歴・産婦人科受診歴
  5. 服薬歴・産婦人科受診歴

 解説

【テーマ】若年女性の気胸

【正答】c

妊婦に関する問題が最近の国試で目立つなあと思ったので出題。若年女性の反復する気胸を見たら、リンパ脈管筋腫症(LAM)または子宮内膜症によるもの疑います。LAMは常染色体優性遺伝である結節性硬化症を合併することがあるので、確認が必要です。

子宮内膜症の既往や、結節性硬化症の有無に関して聞くため、cが正解です。

B49 呼吸器 必修長文

問題

【B48続き】

胸痛、呼吸困難の症状の出現は月経とは無関係であるということが問診で確認された。

この疾患の治療として相応しくないのはどれか。

  1. 肺移植
  2. ドレナージ
  3. 気管支拡張薬
  4. エストロゲン製剤
  5. シロリムス

解説

【テーマ】若年女性の気胸

【正答】d

気胸の出現が月経周期と関係ないことから、LAMが強く疑われます。d以外の選択肢はどれも適切。エストロゲンが関与することから、GnRHアゴニストで抑制するホルモン療法が治療に使われます。エストロゲン製剤は症状の悪化が考えられるため、相応しくないです。

作問者コメント

ら医おん
ら医おん

禁忌になる薬物、急性腹症の原因など妊婦がらみのテーマはいつも狙われそうだと思ったこと、その中でも反復する気胸の考え方に関して過去に出題がないように思ったのが作問の経緯です。

【作問者をフォロー】だんでら医おん(Twitter)

 

アンケート結果

平均点(削除訂正後)

33点(68%)

受験者層

6年生(114回生)が圧倒的多数を占めました。

感想(一部)

  • 近年の社会情勢を反映した問題が多かった
  • 国試の必修よりは難しかったです。
  • 疾患を抱えた患者さんが生活する社会的環境についての問があり、とても勉強になりました。
  • いい復習ができそうです
  • おもしろい問題が多かったです!時事問題的なものもおおかった。
  • 計算わかんない
  • トピックが多く良問だと感じた
  • ストーマの問題は見たことあるって思いました。
  • なかなか知ってそうで知らないおとが多くて勉強の足しにさせていただいています。ちちもげ先生のブログの問題は良くとけます笑
  • 昨日よりは簡単に感じたけどいかにも国試に出そうな問題が多かったです!
  • 敗血症性ショックの問題が全くわからなかったです。
  • 「必修っぽい問題ってこういう感じでしょ」ってものをこってり煮込んだような問題だった
  • 難しかったですが、写真が多くとても勉強になりそうです
  • 必修だけどめちゃ難しかったです。
  • 新たな角度からの学びを得ました
  • Aブロックと比較して、全体的に平易な良問が揃っていたような印象です。
  • トピックになっていることが含まれていて、よかったと思います。
  • 難易度はちょうど良かった
  • Aブロックよりも一般常識で解ける問題が多く感じた
  • Aブロックがやたら難しかったので、Bの難易度が本番らしくて安心した
  • 難易度はちょうど良かったと思います。
  • 楽しかったです
  • 斬新な問題があってよかった
  • サクっと解ける問題もあれば、全く分からない、知らない問題まで幅広くあったと感じた。
  • 悩ましい問題にてこずりました。

良問アンケート

オストメイトの生活に迫ったB47が栄えある一位となりました。

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