急性心膜炎とは
心外膜に炎症が起こる病態です。
膜が引き延ばされる動作(深呼吸や仰臥位など)を取ると、胸痛が増悪します。

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基本的に膜(心膜・胸膜・腹膜)は痛覚繊維が豊富だから引き延ばされると痛いんだ。特に臓側よりも壁側に痛覚繊維が豊富なことも知っておこう。
急性心膜炎の原因
急性心膜炎の原因には、
- 突発性(原因不明)
- 感染症(コクサッキーB型ウイルス、結核など)
- 悪性腫瘍
- 膠原病(SLE、成人still病など)
- 内分泌疾患(甲状腺機能低下症など)
- Dressler症候群
- 尿毒症
などがあります。
急性心膜炎は感冒症状を伴うことから感染症が注目されやすいですが、特発性が最多であることや、膠原病や内分泌疾患でも起こりうることもおさえておきましょう。
また、コクサッキーB型ウイルスは急性心筋炎の原因として、悪性腫瘍、結核、尿毒症は心タンポナーデの原因としても有名です。
Dressler症候群は、急性心筋梗塞〈AMI〉後数か月で壊死組織に対する自己免疫反応がおきて急性心膜炎をきたす。
急性心膜炎の原因のまとめ
急性心膜炎の検査
急性心膜炎の検査所見では、
- 聴診:心膜摩擦音(friction rub)
- 心エコー:echo free space
- 心電図:広範な誘導でのST上昇
などがみられます。
echo free spaceは心嚢液の貯留を示し、少量であれば急性心膜炎、多量であれば心タンポナーデを疑います。
ST上昇に関しては、冠動脈支配に従う誘導でみられればAMI、冠動脈支配に従わない広範な誘導でみられれば急性心膜炎や急性心筋炎を疑います。
広汎なST上昇がみられる疾患の鑑別
- +感冒症状=急性心膜炎
- +感冒症状+消化管症状=急性心筋炎
- +ストレス=たこつぼ型心筋症
出典:113B29
急性心膜炎の治療
対症療法(+原疾患の治療)