てんかん発作の種類
てんかんは、大脳皮質の電気信号の異常で、部位によって「全般発作」と「部分発作」に分けられます。
全般発作には、脱力発作、欠神発作、ミオクロニー発作、点頭発作(@west症候群)、強直間代発作(@Lennox-Gastaut症候群)などがあります。
部分発作には、単純部分発作(@前頭葉てんかん、Rolandてんかん、Jacksonマーチ)や、複雑部分発作(@側頭葉てんかん)があります。
また、どちらも症状が長く持続すると「てんかん重積」と呼ばれます。
抗てんかん薬の適応
抗てんかん薬の適応は、
- 全般発作:バルプロ酸(第一選択)、エトスクシミド、クロナゼパムなど
- 部分発作:カルバマゼピン(第一選択)、新規抗てんかん薬など
- てんかん重積:ジアゼパム(第一選択)、フェニトインミ、ダゾラムなど
と発作ごとに分けられます。
全般発作にカルバマゼピン、部分発作にエトスクシミド、はむしろ状態を悪化させるため、混ざらないよう覚えましょう。
また、てんかん重積で使用する薬剤は、基本的に静注です。

点頭発作(@West症候群)は全般発作だけど、ACTHとビタミンB6という特殊な治療なんだ。例外的なところは、国試でも狙われやすいよね。
新規抗てんかん薬
近年承認された「新規抗てんかん薬」には、
- レベチラセタム
- ガバペンチン
- トピラマート
- ラモトリギン
があります。
新規抗てんかん薬は、部分発作においてカルバマゼピンに併用する形で使用します。
抗てんかん薬は相互作用があるため血中濃度を測定してTDM〈治療薬物モニタリング〉を行う必要がありますが、新規抗てんかん薬は相互作用が少ないとされています。
また、抗てんかん薬は肝排泄性のものが多いですが、ガバペンチンとレベチラセタムは腎排泄性であるため、腎機能に注意して投与する必要があります。
全般発作に使用する抗てんかん薬のゴロ合わせ・覚え方
全部:全般発作
ば:バルプロ酸(第一選択)
く:クロナゼパム
エ(ロ):エトスクシミド
部分発作に使用する抗てんかん薬のゴロ合わせ・覚え方
部分的に:部分発作
か:カルバマゼピン(第一選択)
れ:レベチラセタム
が:ガバペンチン
ト:トピラマート
ラ:ラモトリギン
てんかん重積に使用する抗てんかん薬のゴロ合わせ・覚え方
重なる:てんかん重積
パ:ジアゼパム
フェ:フェニトイン
見たぞ:ミダゾラム
抗てんかん薬の副作用
バルプロ酸
副作用としては
- 催奇形性(二分脊椎など)
- 高アンモニア血症
- カルバペネム系と併用禁忌
があります。
妊婦には基本的に禁忌ですが、症状が強い場合は葉酸を摂取しながら内服を継続する場合もあります。
また先天的に高NH3血症をきたす「OTC欠損症」でも禁忌です。
カルバペネム系抗菌薬を併用すると、バルプロ酸の血中濃度を下げてしまうことが知られています。
全般発作以外では、双極性障害や片頭痛の発症予防に使われます。
カルバマゼピン
副作用としては
- 薬剤性過敏症性症候群〈DIHS〉
- SIADH(による低Na血症)
があります。
DIHSは薬疹の一種で、投与後2~4週間(遅い)で発症し、投与中止後も症状が進行する薬物アレルギーです。
DIHSは、ヒトヘルペスウイルス〈HHV-6〉の再活性化が関与しているとされています。
またSIADHをきたし、利尿障害により、低Na血症をきたします。
部分発作以外では、三叉神経痛の治療に使われます。