医師国家試験対策

医師国家試験の問題形式と正答率の上がる解き方

医師国家試験対策
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この記事について

115回医師国家試験まで、残り11か月となりました。

医師国家試験の過去問を解き始めた人も多いのではないでしょうか?

しかし、過去問は有限です。

漠然と大量消費する前に、まずは、医師国家試験の問題の解き方を身につけましょう!

ということで今回は、

  • 医師国家試験の問題形式
  • 正答率の上がる医師国家試験問題の解き方

についてまとめておきたいと思います。

今後も、115回生向けの記事をいくつか書きたいと思っているので、注目しておいてくださると嬉しいです。

ホリカ
ホリカ

過去問を〇×だけで終わらせてしまうと、あまり力がつかないよ。どうやって解いたらいいのか、考えながら前に進もう!

医師国家試験の問題形式

ざっくりと、医師国家試験は以下のような形式で行われています。

出題内容出題形式配点時間
一般問題臨床問題
1日目各論(A)15問60問(単問)75点160分
必修(B)25問25問(単問+2連問)25+25*3=100点95分
総論(C)35問40問(単問+3連問)75点145分
2日目各論(D)15問60問(単問)75点160分
必修(E)25問25問(単問+2連問)25+25*3=100点95分
総論(F)35問40問(単問+3連問)75点145分
計400問計500点

ポイントは、

  • 1日目と2日目で問題数・時間配分は同じ(114回医師国家試験からの変更点)
  • 一般問題に対して臨床問題が100問多い(112回医師国家試験からの変更点)
  • 臨床問題は、必修で2連問、総論で3連問が出題される(各論では連問の出題なし)
  • 必修では1つ選ぶ問題しか出題されない(いわゆるone-best)
  • 誤っているものを選ぶ問題と、複数回答させる問題は、問題文中で太字表記されている
  • 必修臨床問題の配点が3点(他は全て1点)
  • 計算問題は例年10問前後(意外と出題数が多い)

です。

これらを押さえておくだけでも、医師国家試験の問題に対してどう向き合えばいいのか、なんとなく分かるのではないでしょうか。

それでは、問題の解き方を学んでいきましょう!

正答率の上がる医師国家試験問題の解き方

一般問題 編

一般問題の正答率が上がる解き方は、

定番」を見抜き、「当て馬」に揺さぶられない

ことです。

例えば、

114D6一般問題感染症と抗菌薬の組合せで誤っているのはどれか。

  1. オウム病 ——— ミノサイクリン
  2. 放線菌症 ——— アンピシリン
  3. ノカルジア症 ——— ST合剤
  4. 緑膿菌感染症 ——— セファゾリン
  5. レジオネラ症 ——— レボフロキサシン

のような問題では、

114D6一般問題感染症と抗菌薬の組合せで誤っているのはどれか。

  1. オウム病 ——— ミノサイクリン 定番
  2. 放線菌症 ——— アンピシリン 当て馬
  3. ノカルジア症 ——— ST合剤 当て馬
  4. 緑膿菌感染症 ——— セファゾリン 定番…のひっかけ!
  5. レジオネラ症 ——— レボフロキサシン 定番

と、「定番」を見抜くことで、「定番のひっかけ」が答えになっていることが分かります。

ここで「当て馬」が間違っている選択肢だと弾ける必要はなく、あくまで揺さぶられないことが大切です。

では、どうやって「定番」を「定番」と見抜くか。

112回医師国家試験から「医師国家試験は臨床問題を重視する」ことが決定され、

  • 今後、一般問題は、臨床問題として出題しにくい範囲や、繰り返し出題すべき重要な範囲を中心としたものにする
  • 一般問題の数自体は減少するが、各領域の基本的な問題や、公衆衛生範囲の出題数は保つものとする

すなわち、「一般問題は重要なところを何度も出題するよ」とガイドラインに書かれました。

したがって、過去問ベースの知識を最低限身につけることで、一般問題は正当に辿り着けるようになっていると考えられます。

一般問題の正答率が悪い人は、繰り返し出題されるような基本的知識が抜け落ちているか、当て馬に揺さぶられてしまっている可能性があると考えられます。

出典:医師国家試験ガイドライン(平成30年度版)

臨床問題 編

臨床問題の正答率が上がる解き方は、

解答までの作業を7段階にルーチン化する

ことです。

例えば、

114A20(臨床問題

24歳の女性。頭痛と発熱のため3日前から入院中である。2週前から微熱と多発関節痛を自覚していた。3日前に38℃台の発熱と頭痛が出現したため受診し、同日入院した。入院時、身長160cm、体重48kg。体温38.3℃。脈拍92/分、整。血圧126/74mmHg。呼吸数18/分。頬部紅斑、無痛性の口腔内潰瘍を認める。両手関節、両膝関節に圧痛を認める。血液所見:赤血球326万、Hb 10.4g/dL、Ht 28%、白血球2,600(桿状核好中球70%、分葉核好中球12%、好酸球2%、リンパ球16%)、血小板23万。免疫血清学所見:CRP 0.1mg/dL、リウマトイド因子〈RF〉陰性、抗CCP抗体陰性、抗核抗体陽性、抗dsDNA抗体134IU/mL(基準12以下)、抗Sm抗体陽性。抗β2GPI抗体陰性、抗カルジオリピン抗体陰性、ループス抗凝固因子陰性。入院2日目から見当識障害を認め、その後せん妄状態となった。脳脊髄液所見:無色、水様透明。初圧130mmH2O(基準70〜170)。細胞数52/mm3(基準0〜2)(多核球20%、単核球80%)。蛋白87mg/dL(基準15〜45)、糖48mg/dL(基準50〜75)。頭部MRIで異常を認めない。

この患者の治療で副腎皮質ステロイドと併用する薬剤として適切なのはどれか。

  1. コルヒチン
  2. 抗TNF-α抗体
  3. メトトレキサート
  4. 抗IL-6受容体抗体
  5. シクロフォスファミド

のような問題では、

114A20(臨床問題

①患者像:24歳の女性。④問題文全文 ⑤主訴:頭痛と発熱のため3日前から入院中である。2週前から微熱と多発関節痛を自覚していた。3日前に38℃台の発熱と頭痛が出現したため受診し、同日入院した。入院時、身長160cm、体重48kg。体温38.3℃。脈拍92/分、整。血圧126/74mmHg。呼吸数18/分。頬部紅斑、無痛性の口腔内潰瘍を認める。両手関節、両膝関節に圧痛を認める。血液所見:赤血球326万、Hb 10.4g/dL、Ht 28%、白血球2,600(桿状核好中球70%、分葉核好中球12%、好酸球2%、リンパ球16%)、血小板23万。免疫血清学所見:CRP 0.1mg/dL、リウマトイド因子〈RF〉陰性、抗CCP抗体陰性、抗核抗体陽性、抗dsDNA抗体134IU/mL(基準12以下)、抗Sm抗体陽性。抗β2GPI抗体陰性、抗カルジオリピン抗体陰性、ループス抗凝固因子陰性。入院2日目から見当識障害を認め、その後せん妄状態となった。脳脊髄液所見:無色、水様透明。初圧130mmH2O(基準70〜170)。細胞数52/mm3(基準0〜2)(多核球20%、単核球80%)。蛋白87mg/dL(基準15〜45)、糖48mg/dL(基準50〜75)。頭部MRIで異常を認めない。

この患者の治療で②問:副腎皮質ステロイドと併用する薬剤として適切なのはどれか。

③選択肢 ⑤禁忌弾き ⑦解答

  1. コルヒチン 禁忌?
  2. 抗TNF-α抗体
  3. メトトレキサート 禁忌!
  4. 抗IL-6受容体抗体
  5. シクロフォスファミド

すなわち、

  1. 患者像:若年女性
  2. 問:ステロイドと併用する治療薬
  3. 選択肢:膠原病(ジャンル決定)
  4. 問題全文:CNSループス
  5. 禁忌弾き:「コルヒチン」「メトトレキサート
  6. 主訴に戻る:頭痛と発熱(優先順位付け)
  7. 解答

のように、完全に解答までの作業を7段階に分けてルーチン化してしまいます。

この方法の利点1つ目は、①~③の時点で解答に対してある程度検討を付けることで、問題全文にメリハリをつけて読めることがあります。

臨床問題は問題全文が非常に長いため、ダラダラと読むと時間も体力も削がれます。ぜひ、強弱をつけて取り組みましょう。

利点2つ目は、③と④の過程で気づき次第禁忌を弾くことで、読み忘れによる禁忌選択を防げることです。

「アレルギー歴を見落とした」のようなヒューマンエラーで踏む「うっかり禁忌」は、容易に積み重なります。必ず未然に防ぎましょう。

最後に、利点3つ目は、⑥で主訴に再び戻ることで、解答する際に迷った選択肢の優先順位付けが出来ることです。

特に総論問題では「その時点での」対応を問う問題が多いため、単なる知識だけで早押し解答してしまうと間違えます。一呼吸おいて、主訴に最も合致する解答を選びましょう。

必修問題 編

※必修範囲には一般問題と臨床問題があり、それぞれの解き方はすでに示していますが、ここでは必修範囲の問題全般としての解き方を示します。

必修問題の正答率が上がる解き方は、

選択肢同士を比較せず、「確からしさ +200解答する

ことです。

例えば、

114E27(臨床問題

日齢0の新生児。在胎39週5日、経腟分娩で出生した。啼泣が弱く、保温および口腔内の羊水の吸引と皮膚への刺激を行った。出生後30秒の時点で自発呼吸を認めず、心拍数110/分であった。まず行うべき対応はどれか。
  1. 気管挿管
  2. 胸骨圧迫
  3. 生理食塩液の静脈内投与
  4. アドレナリンの静脈内投与
  5. バッグバルブマスクによる人工呼吸

のような問題では、

114E27(臨床問題

日齢0の新生児。在胎39週5日、経腟分娩で出生した。啼泣が弱く、保温および口腔内の羊水の吸引と皮膚への刺激を行った。出生後30秒の時点で自発呼吸を認めず、心拍数110/分であった。まず行うべき対応はどれか。
  1. 気管挿管 それっぽいけど違う、正解らしさ+20
  2. 胸骨圧迫 違う、+0
  3. 生理食塩液の静脈内投与 関係ない、+0
  4. アドレナリンの静脈内投与 どう考えても禁忌、-100
  5. バッグバルブマスクによる人工呼吸 呼吸がないなら まず人工呼吸は当たり前、+200

と、本来ならば一瞬で判断出来るのですが、

必修が苦手な人の解き方をみていると、

114E27(臨床問題

日齢0の新生児。在胎39週5日、経腟分娩で出生した。啼泣が弱く、保温および口腔内の羊水の吸引と皮膚への刺激を行った。出生後30秒の時点で自発呼吸を認めず、心拍数110/分であった。まず行うべき対応はどれか。
  1. 気管挿管 なんとなくそれっぽい、正解らしさ+50
  2. 胸骨圧迫 それっぽい…?、+30
  3. 生理食塩液の静脈内投与 関係なさそうだけど…、+20
  4. アドレナリンの静脈内投与 禁忌っぽいけど…、-20
  5. バッグバルブマスクによる人工呼吸 それっぽい、+70

と、「正解と不正解の間の確かさの振れ幅が非常に狭い」ことが伺えます。

必修問題を苦手とする人は、この確かさの振れ幅で選択肢同士を比較してしまうことで不正解に至っている可能性が高いです。

この解き方を改善するには、一番正答に近い選択肢と出会ったら、他と比較せずに一点集中で解答することです。

必修の形式が「1つ選べ」のみである以上、正解らしい選択肢が複数あるような問題は絶対に出題されません。一番正解らしいと思った時点で その選択肢が解答すべきものなのです。

ただし、選択肢は全て必ず読んだうえで判断すること。早押しして間違えるのはもったいないです。

また、一番正答に近い選択肢が分からない場合は、皆が選びそうな解答を日頃から意識することが有効です。

QBやみんこれでは、以下のように選択肢ごとに何%の人がその解答を選んだかを確認できます。

 ※

自分が200%正しいと思ったのに間違える場合は、問題演習→解答分布確認を繰り返すことで、皆との感覚のズレを修正していく必要があります。

※みんコレ(114E27)より引用

まとめ

まとめると、

  • 一般問題:「定番」を見抜き「当て馬」を弾く
  • 臨床問題:解答までの作業を「7段階」ルーチン化
  • 必修問題:「確からしさ +200」の絶対正解を一点集中で選ぶ

が、医師国家試験の正答率の上がる解き方 でした!

最初は定着まで時間がかかるかもしれませんが、「なんとなく」解いてしまうのが習慣になる前に、まずは解き方を身につけることを意識してみてください。

ホリカ
ホリカ

なんだか問題がスラスラ解けそうな気がしてきたよ。ホリカ、満点取っちゃったらどうしよう!

次回は、復習に最適な「本番まで使えるまとめノートの作り方」についての記事を書きたいと思います。

読んでいただいて、ありがとうございました!

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